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お題シリーズ4

絶滅危惧妖精の二匹

作者: リィズ・ブランディシュカ



 妖精は美しく、愛らしい。


 それがその世界の人々の共通認識である。


 しかも希少であるため、幸運の象徴とも呼ばれていた。


 そのため、物好きに高値で売りつけようとする者達が、妖精を捕まえてしまうことがある。


 そのせいで、ただでさえ少なかった妖精が、どんどん数をへらしてしまった。


 だから、その世界の妖精は絶滅してしまう一歩手間の状態だった。


 その貴族の屋敷でも、そんな妖精が捕まえられてきたところだった。


 それは、子供の誕生日プレゼントに親が与えたものだった。


「さぁ、これが妖精だよ。いつも図鑑でみていただろう?」


 しかし、子供の様子は浮かばない。


 ペットとして飼い始めた存在、その妖精と友達になった子供は、真実を知ってしまったからだ。


「絶滅しそうになってるのに、捕まえたりするのはかわいそうだ」


 妖精は人の世界では長く生きられない。


 自然で生きるのが良い事だった。


 だから、子供は妖精をポケットに忍ばせて外に逃がす事にした。


 夜の時間にこっそりでかけて、近くの森へ放つ。


 自由になった妖精は嬉しがって、お礼のキスを頬にのこして去っていった。


 少年は寂しかったが、これで良かったと思った。


 しかし、妖精が逃げ出したと勘違いした親が、再び妖精を捕まえてきて子供に与えた。


 今度は二匹の妖精だった。


 子供は無力さを味わった。


 世の中には、たった一人が頑張っても、どうにもならない事があるのだと。


 それどころか中途半端な善意は、余計な被害を生み出しかねないのだと。



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