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孤独の栽培人~栽培アプリで生活向上~  作者: 骨肉パワー
二章 ブラッド・バケーション

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第41話

「その十手…江戸時代の岡っ引気取りか?…馬鹿が。時代錯誤にも程がある。そんな警棒以下の骨董品に何ができる」


「そうか?歴史ある武器ってのも悪くはないと思うが。本当は提灯とかも使いたいんだが、あれはあんまり実用的じゃなくてね」


「はっ…懐古主義者の考えなんぞ私には分からんよ」


 ドカッ!ドカッ!ドカッ!と、連続で花火が爆発する音が遠くから響き渡る。赤色、青色、そして緑色。その幻想的な光が互いの表情を照らし暴き出す。両者の暗い瞳は爆音に揺れる事もなく静かに眼前の敵だけを映していた。


「それで…?死ぬ前に祈りは済ませたか?まあお前のような外道は間違いなく地獄行きだろうがな」


「…悪いね。俺は「今」以外興味ないんだ。その手の説法はもう聞き飽きてる」


「そうか。…お前、何か勘違いしているようだな」


「…?」


「追い詰められたのは私ではなく、お前だ」


「…っ!?」


 今までとは比にならないレベルの強力な風が大助の体を吹き飛ばす。


「ぐっ…まじかよ……」


 フェンスに当たりつつも体勢を戻そうと奮闘する大助。


「っ!?」


 その瞳に、指で作った銃口を向ける女の姿が映り込む。


「___‘風刃(強)‘」


「ぬううっ…!?」


 風の刃が大助の纏った魔力を貫通。その体が屋上からフェンスをぶち破り吹っ飛ばされる。


「痛たたたた!…まいったね」


(物凄い威力だ。こりゃ場所取りミスったかもな)


 両腕には深い裂傷が刻まれ出血も酷い。だがその深い傷口がゆっくりと修復されている事を大助は感じ取っていた。


(サンビーチに付くと同時にスーパーポーションを飲んどいて正解だったぜ。回復効果に関するデータも取れるし一石二鳥ってやつだ)


 ビルから落下しながらも冷静に服の内側に仕込んでいたドラゴン草を手に取り食べる大助。


「___‘ドラゴン草<モードウィング>‘」


 即座に翼を生成し体勢を立て直す。


(ふう。地面落下でミンチ直行コースは避けられたか)


「さて、どうするかな」


 滑空しながら迎撃方法を考える大助。だがその直後にそんな時間は残されていない事を大助は認識する。


「やはり生きていたな金本大助!!」


「げっ…!?」


 猛スピードで回転する風を四肢に纏い、横壁を走り接近してくる女の姿を大助が視認する。


(あの女完全に人間を辞めちまってる。…出し惜しみ無しで俺を空中で始末するつもりか。守りに入ると死ぬなこりゃ)


 十手を構え直し横壁に足を擦りつけながら重心を補正。横壁を蹴りつけ駆け上がり大助の方から女に急接近する。


「ふっ…!!」


「はあっ…!!」


 女はナイフを。大助は十手を振りかぶりながら相手に叩きつける。金属同士がぶつかり合う音が響き火花が飛び散る。


「___‘風掌!‘」


 叩きつけようとしていた暴風の掌底を完全に見切っていた大助。ジャストタイミングで攻撃を回避する。


「おいおい焦り過ぎだ。もっと楽しめよ…!!」


 そして女が引き戻そうとしていた腕を絡め取り連続攻撃を事前に封殺。千載一遇のチャンス。これを逃す大助ではない。蒼色の魔力が昂り十手が月の軌道を描き出す。


「___‘魔操術<露草>‘」


 流れるような動きで全体重を使い十手で足を絡め破壊。そのまま半回転の後に蹴りを女に叩き込む。


「がっ…!?」


 一点に集中させた魔力を纏うその絶技が女の風のバリアを貫通。腹部の骨をバキバキにへし折る。不意を突かれた女の体はホテルの壁を破壊し内部へと吹き飛んでいった。


「短刀類の常套手段。カウンターさ。結構響いたんじゃないか?」


 十手そのものは特段強い武器ではない。その技も技術も相手を殺さず捕縛する事に重きを置いている。だがこの男の場合は違う。人体を効率よく破壊する鬼の如き技術。そこには「不殺」などという高潔な信念は欠片も存在していなかった。


(十手なら最悪1撃喰らっても何とかなるとか考えてたんだろうが…大甘さ。その1撃が命取りだ)


「さあさあ。もっと俺に見せてくれ。あんたの力ってやつをよ……」

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