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孤独の栽培人~栽培アプリで生活向上~  作者: 骨肉パワー
二章 ブラッド・バケーション

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第37話

 途中何カ所か寄り道をしつつ、ついに目的地に到着した大助とクロ。


「さてさて。とりあえず熱海市外地に着いたわけだが…クロ。ちゃんと尻尾と角は隠したよな?」


「大丈夫だ」


「…全然大丈夫じゃないだろ。尻尾が消えてないぞクロ」


「あっ…!?」


 クロが慌てて背中から伸びていた黒い尻尾を消す。


「その、どうにもこの隠すっていう感覚に慣れなくてな~…すまんマスター」


「いや、おまえにしてはかなり努力しているという事は理解出来てる。…いいか。もし角や尻尾を見られたらコスプレやら何やらで押し通せよ」


「了解だ」


「よし。そんじゃ行くか」


 大助がクロを引き連れ路地裏へと足を進める。


「……」


「…マスター、気づいてるよな?…後を付けられてるぞ」


「ああ」


 クロが後方への警戒を強める。だがそれでも大助の様子は一切変わる事は無かった。


「むしろそれでOKなんだよ。付いて来て貰わないと困る」


「…?これから向かう「中立地帯」というのと関係しているのか?」


「そういう事だ。…さて、着いたぞ」


「ここが目的の場所か?…ただのラーメン屋じゃないのか?」


 大助とクロの視線の先、そこには古びた一軒のラーメンハウスが存在していた。表の札には「営業中」の文字と共に黒いハートマークのエンブレムが刻まれている。


「いいかクロ。よく聞け。これから入る建物の敷地内では一切の暴力行為は禁止だ。万が一にも無いと思うが、もし向こうが手を出してきても自衛行為以外は絶対に手を出すなよ」


「…分かったぞ」


 古びたドアを開け、大助とクロが店内へと足を踏み入れる。


「…ん?いらっしゃ…い…て……冗談だろ?」


 大助とクロの姿。そして後方から近づいて来る者の存在に中年店主の表情が一瞬で真っ青になる。


「…おい。表の紋章の意味は分かってるよな?トラブルは御免だ」


 その言葉を受けた大助が非常につまらないものを見る目で店主に対応する。


「おいおい。あんたそれでも「アンダー・ピース」の支店長か?対話の席を作るために色々な組織が「加盟」してるってのにそんな弱腰でどうするよ?安心しろ。ちゃんとルールには従うさ」


「……」


「なあ?あんたもそうだろ~?」


「…ふん」


「「…っ!?」」


 大助の視線の先、ドアの内側にはいつの間にか黒スーツ姿の女性が1人、不機嫌そうに立っていた。ブロンドの短髪に長身。サングラスの奥の瞳は大助と同じような暗い瞳をしている。


「げっ…!?あんたは…まさか……」


 その姿を見た店主の顔色が更に悪くなる。


「勘弁してくれ…お前ら他所で勝手に殺し合え。うちじゃ手に負えんぞ…」


 その言葉に大助と同じような反応を見せる黒スーツの女。


「ふん。貴様それでも「アンダー・ピース」の支店長か?中立地帯を名乗るならそれに相応しい度量というものを見せてみろ」


「…ぐう……」


「この私がルール違反を犯すとでも思っているのか?…そもそも、協賛金と称して毎年貴様らの組織の維持費に私がいくら出していると思っているんだ?…ちゃんと自分の仕事を全うしろ」


 女性のその言葉に芋虫を嚙み潰したかのような表情を見せる店主。


「ああ…いや…そういう訳じゃないんだが…とにかくだ!ここは「アンダー・ピース」の正規代理店。中立地帯だ。加盟組織だろうが人殺しだろうが店内での暴力行為は一切禁止。殺るなら敷地外でやれ。…分かったな?」

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