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孤独の栽培人~栽培アプリで生活向上~  作者: 骨肉パワー
二章 ブラッド・バケーション

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第35話

「…そろそろってところか?」


 翌日、のんびりと縁側で寝転がっていた大助がそう呟く。それから数秒後に大助のスマートフォンに1件の着信が入った。


「はいもしもし~?」


「…マスター。…「鼠」が三匹現れた。…処理する?」


「ふむ…」


 大助の表情が少しだけ変化する。


「いや。生かして地下室に軟禁しておいてくれ」


「…分かった」


 大助とクラリアの不穏な会話は続く。


「いいか。捕縛の目的以外で危害を加えるのは禁止だ。言葉と食料を使って自主的に喋らせるんだ」


「それと「鼠」にはこう伝えてくれ。一番早く情報を喋った奴は無罪。だがその場合は残る二人に罰を受けて貰う。二人が情報を喋った場合は残りの一人に全ての罰を背負って貰う。そして全員が喋らなかった場合は全員無罪放免にしようとな」


「…全員が喋った場合はどうすればいい?」


「その場合は何もしなくていい。ほぼ間違いなく本当の事を言ってるだろうからな」


「…分かった。…出来るだけ穏便にやってみる」


「ああ。頼んだぞクラリア。……拷問とかしちゃダメだからな?痛いのも禁止だからな?」


「…ん。…分かった」


 通話を切った大助が今後の行動方針を決め始める。


(ついに動き始めたか。パーティーが始まるまでに所属と名前くらいは手に入れておきたかったが…)


「難しい顔をしてどうしたんだマスター?」


「ん?」


 庭をうろついていたクロが横になっていた大助の顔を覗き込む。


「考えるよりも体を動かした方がいいぞ~悩んで出した答えなんて大抵はろくでもない結果になるからな」


「…ふむ。中々良い事を言うじゃないか」


「だろだろ~?もっと褒めてもいいんだぞ」


 フン!と尊大に自己アピールをするクロ。全ての苦悩から解放されたその能天気な顔は大助からしてみれば眩しくも見えた。


「そうだな。偶には大胆に行動する事も必要か」


「そうだぞ!この私を見習って…というかそれ本当に褒めてるのかマスター?」


「褒めてるとも。お前は凄いやつだよ。…色々な意味でな」


「ふふん!どうやらようやくマスターもこの私の凄さを理解したようだな!」


 褒められて有頂天になるクロを呆れた目で見る大助。この悪癖さえなければクロの基礎スペック自体は悪くはないのだ。


(話が逸れたな。本題に戻ろう。とにもかくにも時間を稼ぎ情報を引き出す必要がある。そのために1日は逃げる必要があるんだが…)


 そこまで考えた大助の脳にアイデアが舞い降りる。


「クロ。1つ聞きたいんだが、お前っていつでも竜の姿に戻れるのか?」


 大助が気になっていた質問をクロに投げかける。


「んお?いつでも戻れるぞ」


「…いいね。素晴らしい」


「?」


「てことは、あの姿なら人間1人背負って空を飛ぶのなんて何の問題も無いよな?」


「余裕だな」


 自信満々にクロが答える。その姿を見て満足そうに大助は頷いた。


「…決めた。今から俺は温泉旅行に行くぞ」


「んお?急だなマスター」


「何をボケッとしてるんだ?お前も俺と一緒に行くんだよ」


「ええっ!?本当に急だな!?」


 同行を求められるとは思っていなかったクロが驚く。


「わ、分かった。とりあえずラビに連絡しておかないとなっ」


 黒色のスマートフォンを取り出しラビに連絡を取ろうとするクロ。


「はい。どうしたんですかクロ?また何かやらかしたんですか?」


「…ふむ。クロ、ちょっとそのスマホを貸してくれ」


「え…?ま、まあ構わないが」


 動揺するクロのスマートフォンを借り受け大助がラビとの通話を始める。


「ラビ。緊急事態だ。おまえにはこれから指定するポイントに向って欲しい」


「…っ!?…はい。分かりました。直ぐに準備して向かいます」


「ああ。対象は要監視対象者の1人だ。だがまだ確証が無くてな。明日の夜までに処分するかどうかを決めるからラビはそいつから目を離さないようにしてくれ」


「分かりました。「処分」の場合は事後にクラリアに頼んで「掃除」をして貰っても大丈夫ですか?」


「ああ。その場合は出来るだけ証拠は残さずにな。対象者の詳細情報については後で送るから頼んだぞ。また機会を見て連絡するからスマートフォンは手放さずにな」


「はい。マスターの連絡最優先で行動します」


「よし。そんじゃ切るぞ~」


 ラビと大助の通話が終了する。


「さてさて、また面白くなってきたなぁ…」


「んお?」


「よし。そんじゃクロ。ちょっと庭の中心まで来てくれ」


「…?」


「一応おまえにも説明しておこう。今後の計画についてな」

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