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主人公異世界転生記  作者: 一ノ瀬彼方
主人公異世界転生記:弐
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Escape

バレンタイン?知らねぇよそんなもん!

チョコの代わりに伏線あげます。

「取り合えず、脱出しよう!」

そう言ったのは神崎だった。

「脱出って言ったって、どうするんです!?」

黒沼が若干叫ぶように聞く。

「ここは構造が複雑!だから、相手は私たちが何処にいるか分からないはず!分かっていても、直ぐにはこられない!」

「でも!まだ一ノ瀬君が!」

一ノ瀬は・・・今だ仮想空間の中だ。アルファ版をプレイしているが故、緊急停止機構も、シャットダウンも付いていない。

仮想空間に飛ばされた人間はすぐには帰ってこられない。無理に返そうとすると、脳に大きな負担がかかるからだ。この仮想空間は規模が大きいから、今からだと・・・!

「一ノ瀬は・・・置いていくしか・・・ないかもしれません。」

その時、一瞬だが停電が起きる。

「もう時間がない!まずは一人でも多く助かるんだ!」

そう言ったのは岩谷さん。岩谷さんは、地図が頭に入っているのか俺たちを外まで連れ出してくれた。

それから、警察を呼んだり、消防を呼んだり、パニックで何も覚えていない。


「・・・二ノ宮、大丈夫か?」

「元気、なさそうに・・・見える、よ?」

黒沼とノアが心配そうに俺の顔を覗いてくる。

「すみません・・・あまりにも急だったもので。」

俺はそんなに顔に出ているだろうか。

「マスター。私が言うのもなんですが・・・大丈夫です!全部、何とかなります!確かに、最悪の状況を考えるのも大切です。でも・・・今は、今だけは。気を張り詰めないでください。私、心配です。」

「・・・ごめん。心配かけたい訳じゃないんだけど・・・どうにも。」

「お前ら、ここはもう駄目だ。現在、俺達を襲撃した組織が籠城してて、中に入れないらしい。火は鎮火したが、またいつ爆発や火事が起こってもおかしくない・・・とりあえず、一旦帰ろう。連絡はまた今度する・・・大丈夫だ、一ノ瀬については話した。救助隊を編成してくれるそうだ。俺らにできることはない。ゆっくり休め、な?」

それから、俺達はそれぞれ帰路を辿った。


「マスター。ごめんなさい、あんなこと言っちゃって。マスターが辛いのは分かってるんです。分かっているのに・・・!」

泣き出すアルル。こうして泣いているのを見るのはいつぶりだろう。

「いや、ありがとう。確かに、空気は読めてなかったかも知れないけど、アルルの気持ちが凄く伝わって、嬉しかった。」

泣き止むアルル。たまに、アルルの方がよっぽど人間らしいと感じることがある。シチュエーションが特殊すぎて何も言えないが。

「帰りましょう、マスター。」

「ああ・・・生きてて、良かった。」

そんな風に思ったのは生まれて初めてかもしれない。

・・・あれ?そういえば、脱出してから神崎の顔、見てないな・・・?

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