Escape
バレンタイン?知らねぇよそんなもん!
チョコの代わりに伏線あげます。
「取り合えず、脱出しよう!」
そう言ったのは神崎だった。
「脱出って言ったって、どうするんです!?」
黒沼が若干叫ぶように聞く。
「ここは構造が複雑!だから、相手は私たちが何処にいるか分からないはず!分かっていても、直ぐにはこられない!」
「でも!まだ一ノ瀬君が!」
一ノ瀬は・・・今だ仮想空間の中だ。アルファ版をプレイしているが故、緊急停止機構も、シャットダウンも付いていない。
仮想空間に飛ばされた人間はすぐには帰ってこられない。無理に返そうとすると、脳に大きな負担がかかるからだ。この仮想空間は規模が大きいから、今からだと・・・!
「一ノ瀬は・・・置いていくしか・・・ないかもしれません。」
その時、一瞬だが停電が起きる。
「もう時間がない!まずは一人でも多く助かるんだ!」
そう言ったのは岩谷さん。岩谷さんは、地図が頭に入っているのか俺たちを外まで連れ出してくれた。
それから、警察を呼んだり、消防を呼んだり、パニックで何も覚えていない。
「・・・二ノ宮、大丈夫か?」
「元気、なさそうに・・・見える、よ?」
黒沼とノアが心配そうに俺の顔を覗いてくる。
「すみません・・・あまりにも急だったもので。」
俺はそんなに顔に出ているだろうか。
「マスター。私が言うのもなんですが・・・大丈夫です!全部、何とかなります!確かに、最悪の状況を考えるのも大切です。でも・・・今は、今だけは。気を張り詰めないでください。私、心配です。」
「・・・ごめん。心配かけたい訳じゃないんだけど・・・どうにも。」
「お前ら、ここはもう駄目だ。現在、俺達を襲撃した組織が籠城してて、中に入れないらしい。火は鎮火したが、またいつ爆発や火事が起こってもおかしくない・・・とりあえず、一旦帰ろう。連絡はまた今度する・・・大丈夫だ、一ノ瀬については話した。救助隊を編成してくれるそうだ。俺らにできることはない。ゆっくり休め、な?」
それから、俺達はそれぞれ帰路を辿った。
「マスター。ごめんなさい、あんなこと言っちゃって。マスターが辛いのは分かってるんです。分かっているのに・・・!」
泣き出すアルル。こうして泣いているのを見るのはいつぶりだろう。
「いや、ありがとう。確かに、空気は読めてなかったかも知れないけど、アルルの気持ちが凄く伝わって、嬉しかった。」
泣き止むアルル。たまに、アルルの方がよっぽど人間らしいと感じることがある。シチュエーションが特殊すぎて何も言えないが。
「帰りましょう、マスター。」
「ああ・・・生きてて、良かった。」
そんな風に思ったのは生まれて初めてかもしれない。
・・・あれ?そういえば、脱出してから神崎の顔、見てないな・・・?




