first
今日は社長の息子さんが来る日。
朝、俺とアルルが廊下を歩いていると、神崎と早瀬が偶然いたのでどう思っているかを聞いてみた。ちなみに、俺ら以外は社長の息子だとは知らない筈だ。
「どんな人が来るのか知らないけど、まあ手伝ってくれるならいいんじゃない?それより、さっさと済ませて仕事終わらせよー?」
と神崎が言う。
・・・ちょっと無関心過ぎないか?そんなことないかな?
「まあどんな奴が来てもボクの方が先輩だから、こき使ってあげよう。」
早瀬はマウント取ることしか頭にないのか?
「どうなんでしょう?私はマスター達と一緒に働いている訳ではないですけど、ここで一緒に住むって考えると怖い人より優しい人がいいですね。」
とアルルが言う。なるほどなぁ。確かに、一緒に住むことになるのか。
そんなこんなで。新入りがやって来た。
岩谷さんが新入り君に自己紹介を求める。
「俺の名前は一ノ瀬彼方。ここの会社の社長の息子だ。けど、俺は全然会ってないんだけど。俺はずっとゲーム・・・と言うかeスポーツをやってて大会で優勝経験があります。今後ともよろしくお願いします!」
俺たちから新入り改め、一ノ瀬君に拍手が送られる。
「えっと、それで質問なんですけど、そこの幼女は・・・?」
俺たちは一斉にノアの方を見る。
「え?私?・・・私、は・・・ノア。初期型、汎用・・サポート、AI。喋り方は・・・おぼつかない、けど。私、先輩、だから。よろしく。」
「お、おう。よろしく。」
・・・俺達も自己紹介した方がいいかな?
この後皆で自己紹介した。
「じゃあ早速アルファ版のデバッグ始めていくんで、お願いします。」
「うん。基本的にはオープンワールド系のファンタジーアクションRPGだと思ってくれていいから。」
早速始めるらしい。仕事熱心だなぁ。
「オペレーターは俺と二ノ宮がするから。」
と言ったのは黒沼。黒沼は初めは体育会系かと思っていたが、ただのイケメンリア充だった。爆発しろ・・・古いかな?
「うーーーーーーーん・・・。」
さっきから神崎がずっと唸っているがどうかしたのだろうか。
一ノ瀬をじっと見つめている?なんだ?一目惚れか?
いや、神崎に限ってそれはないか。
「そこの曲がり角を右に・・・で、この壁を壊してみて。」
『わかりました。ここの色の違う壁ですね。えい!』
スパン、と仮想世界で剣が壁を一刀両断する。
すると中から宝箱が・・・!
『おお!開けていいですか?』
「ああ、開けてくれ。」
俺が指示を出す。すると宝箱が開いて、中から・・・!
『あれ?何も入ってないですね』
「あれ?ここって誰が担当?」
と俺が聞くと、
「確か、神崎さんじゃなかったかな。聞いてくるよ。」
と黒沼が返してくれた。
「うし。一ノ瀬君。取り合えず、一旦戻っておいで。こっちで修正するから。」
『はい!戻ります。』
一ノ瀬君は岩谷さんの不安を綺麗に打ち消して、順調に仕事をしていた。
そして、ついに。
「よーし。後はこれを出力すれば・・・ベータ版の完成だ!」
ここまで来るのに八ヶ月ほど経った。
一ノ瀬君は凄く働き者で作業効率が上がった。
そして事件は起こった。
「おい!隣の施設燃えてるぞ!」
と岩谷さんがダッシュで部屋へ来て伝えてくれた。
それを聞いて動揺していると、突然。
ドカーン、と大きな爆発音がした。
「マスター!侵入者警報です!既に建物の全体の3%を占拠しています!」
ここは結構セキュリティが強かった筈なのに!
防壁が閉まる。耐火扉だ。侵入を妨げる意味も込められている。
電気系統はやられていないようだが、いつ停電してもおかしくない。
何でだ?どうしてここに?どうやって逃げる!?
全員に焦りが見える。そりゃそうだ、命の危険だ。
「取り合えず、脱出しよう!」
そう言ったのは神崎だった。




