プロローグ:弐
時は31世紀。
我々人類は発展した。
AIのシンギュラリティの到達、地球外惑星の侵略により昔のようにエネルギー問題に悩まされることも無くなり、一家に一台、AI(正式名称は高性能疑似人類)が当たり前。疑似人類とは、そのまま。このAIはそれぞれ違った人格を持ち、まるで人間のようにふるまうことができる。人類は自らの手で疑似的な知的生命体を作り上げたのだ・・・。
なんだこれ、と思いながらその雑誌を机の上に置く。凄く胡散臭いな・・・。
「なあ、アルル。飯はまだか?」
と催促をする俺。やっぱり召使いかもしれない。
「うるさいですねぇ。そんなに急かすなら自分で作ってください。」
振り向くと、薄いピンク色のポニーテールの高校生くらいの見た目の子がいた。
決して、誘拐したわけでもない。ましてや彼女でも妻でもない。
よく見ると関節部分に継ぎ目がある。こいつが、そのAIだ。名前はアルル。
「今日は仕事の面接なんだよ。早く食って早くやりたいんだ。」
昼から行かないといけないため、早めに昼食を済ませたいのだが・・・。
「それにしても、何か焦げ臭いな。」
・・・アルルは何で隣にいるんだ?
「あっ!料理!忘れてた!」
と、忙しそうに動き出す。
更に、そこに家のチャイムがなる。
まったく、忙しいな。
「はーい」
と気だるそうに返事をする。
『お届け物です。』
「ありがとな。」
と、その配達ロボットにお礼を言う。
そういえば、今時ロボットにお礼を言う奴なんているのだろうか?
まあ別に減るものじゃないしいいか。
「マスター・・・。その、あの・・・。」
「ん?どうし・・た・・・。」
「焦げちゃいました・・・うぅ・・。」
アルルは凄く落ち込んでいる。目がうるうるしていて、今にも泣きそう。
最近、飲食機能を追加するパーツを付けてからというもの、とても美味しそうに食べていたのを思い出す。
「・・・家にあるインスタント食品でも食べるか。嫌なら、外食してきてもいいぞ。」
とアルルに言っておく。
「・・・家で食べます・・・。」
「そうか・・・俺が作ろうか?」
「ふぁい」
とふわふわした返事を聞いて俺が料理を作ることにした。
・・・あれ?何故俺がこいつの飯を作ってるんだ?案外俺が召使いなのかもしれない。
「「いただきます」」
「しっかり言えてえらいな」
「子供じゃないんですから、それぐらいちゃんと言えますよ。」
もはやテンプレのような会話の途中に俺はふと、AIに子供とか大人とかの概念ってあるのか?
と疑問に思った。
まあいいや。さっさと準備して面接に行こう。
「はぁ~。いつの時代も面接って疲れるもんなのかねぇ。いつの日か面接がなくなったら・・・会社が困るな。」
と愚痴をこぼしながら車に乗り、帰路をたどる。
まあ二次面接だし、ちょっとは慣れたけど。
とは言っても面接の相手はAIだ。
今時、会社なんて九割AIが占めてるだろう。
もちろん人間が社長だと思うが。
ピコン!とメールの通知が届く。
すぐ結果が出るから、楽かと思ったが心の準備が・・・。
とは思いつつもメールを開く。
そこには「採用」の文字があった。
よかった・・・と俺はほっとしながら玄関を開けた。
「お帰りなさい!マスター!面接どうでした?」
「無事、採用だったよ」
と言ってソファーに寝転ぶ。
家って落ち着くなぁ。
「マスター・・・まずは着替えましょう。スーツにしわが付きますよ。アイロンかけるの私なんですからね?」
「はいはい、分かりましたよっと」
ソファーから立って、スーツを脱ぐ。
ハンガーにかけて、リビングに再び戻ってくる。
「アルルー、飯お願いー。」
「わかりました!今度は失敗しませんよー!」
高性能要素ってどこだ?と思うが、人間よりも人間してる気がする。
「マスター!今回は失敗しませんでした!レシピを見たので!」
じゃあ昼はレシピを見てなかったってことかよ・・・。
そのあと、飯を食って何事もなく寝た。
次の日・・・。
「会社にいかねえと!こんな事なら仕事なんてやらない方がよかった!ニート最高!」
現在。この男、初日から遅刻寸前である。
「マスター!あ、慌てないでください。まだ五分あります!昨日、荷物は準備してあるので、ご飯食べて、着替えて、車に乗って・・・まだ間に合います!」
と言われたので飯を食いながら着替える。
「ふぁいふぁひふぉうふぁ?」
「ごめんなさい。一ミリもわからないです。飲み込んでからもう一度お願いします。」
・・・焦り過ぎた。飲み込んでから、
「間に合いそうか?」
「はい!マスターが並列作業をしたおかげで。」
「それじゃ、言ってくる。」
「はい!明日からは起こしますね?」
「よろしく頼むよ。」




