そんなありふれた日常
俺の名前は如月 龍。どこにでもいる大学3年生だ。容姿、成績、家庭は父母兄僕の四人家族で両親共働き、兄もサラリーマンとごく普通である。まあ、何が言いたいかっていうと俺のポジションは異世界転生もので言う村人Aというごく普通なところに位置するということだ。趣味は読書、ゲーム、睡眠とインドアでできること。コミュ障なので友達はあまり多くない。・・・いや、すくないけど友達はちゃんといるよ?誰だ「いないの間違いとでは?」とか思ったやつは。後で説教だ。
冗談はこの辺でやめるとして、そんな数少ない友達と大学ライフを過ごすぱっとしない俺なのだが、毎日を楽しく過ごすことができている。その理由は彼女にある。
「龍く~ん、待った?」
そうこの人、九重 穂華である。俺と同じ大学に通う同年代の女子で高校も同じ。彼女を一言で表すとしたら「才色兼備」、この言葉が彼女以上に似合う人はこの世に存在しないだろう。腰まである黒いさらさらとした長い髪をなびかせ、目元はきりっとしていて少し威圧的だが、100人いたら100人振り向くレベルでのほんわかした笑顔がとてもかわいい。一昨年、昨年行われた大学のミスコンでは2連覇という偉業をかざっており、学業のほうも成績は常に学年トップである。ついでにいうと、親は誰でも聞いたことのあるような会社の社長とブルジョア階級の人間でもある。しかし、そんな自分に胡坐をかかず、だれかれ問わず明るく接することができる性格の良さまである。
「いや、俺も講義終わったばっかだから。んじゃ、いくか」
そんな、ぱっとしない俺ときらきらと目立つ穂華との関係は、今年度で4年目を迎えるカップルである。高校の2年の始業式、同じクラスになった穂華から、校舎裏に差出人不明の手紙で呼び出され告白された。いやー、あの時は穂華と関りはあまり、てかほとんどなかったから、果たし状(いつの時代だよ)だったらどうしようって、びくびくしながら向かったのは今でも覚えてる。ほんと怖かった。だって、来なかったら家まで押しかけるからって書いてあんだもん。母上をお守りするために行くしかないじゃん?え?親父と兄貴はって?そんなん知らん。
そんな心配は杞憂に終わり、穂華に一目ぼれしていた俺は、断る理由もなく交際を始め、ぱっとしなかった俺の人生はこの時からガラッと変わった。今では、お互い一人暮らしなのだが半同棲状態のような生活を過ごしている。
夕飯の買い出しの道中、鼻歌を歌っていた穂華がニコッとしながら俺の方に顔を向けると、
「今日の夕飯は何にしよっか?」
「穂華の料理ならなんでもいい。うまいし」
いざ聞かれると食べたいものってあんまないよね。
考えるのが面倒だった俺はあくびをしながらそう返事をする。
「もう、適当なこといってー」
穂華は頬を赤らめながらはにかむ。可愛すぎるだろおい。顎に指をあて、夕飯のメニューを考えていた穂華ははっと俺のほうを向き、いたずらした子どものような笑みをうかべると、
「なんでもいいならピーマンの肉詰めにしようかな、うんそうしよっ!」
「おい待て、俺がピーマン嫌いなの知ってるよな。やめとけ死ぬぞ、俺が」
子供ぽいって?うるさい、苦いのは嫌なんだよ!同様の理由でブラックチョコも苦手。甘くないチョコなんてチョコじゃない!
心底嫌そうな顔を向けてるのにも関わらず穂華はもう決定事項だと言い張り、
「真面目に答えなかった龍君がいけないんです」
「おい……」
したり顔でそういった穂華は、先ほどと同様、鼻歌を口ずさみながら俺の先を歩いて行った。
なんでもうまいってのはほんとなんだけどね?
そんな意思が穂華に伝わるわけはなく、改めて伝えるのも気恥ずかしく思った俺は穂華の後を追ってスーパーへと向かった。
夕飯はまじでピーマンの肉詰にしやがった。ほんと大変だった・・・・許すまじ穂華。
どうせ行われない復讐を頭の中で練りながら、襲い掛かってくる眠気に従い眠りについた。
翌日、起きた時には穂華はすでに家を出ていた。穂華は1限の授業を取っているので学校に向かったのだろう。なんで俺はまだ寝てたかって?1限は朝早く起きられないから金曜日以外は取ってないの。そのせいで単位はかつかつで何も落とせないんだけどね。
「ごちそうさまでしたっと」
穂華が作り置きしといてくれたお昼ご飯を食べ終え、あくびが出そうなほのぼのとした日差しにあてられながら、のんびりと大学に向かう。
大学につくと、そんなほのぼのとした時間とは一転して冷めたものへと変わった。教室へむかうためキャンパス内を歩いていると周りから視線を多く感じるような気がする。
「あの人が、穂華先輩の彼氏?なんていうかぱっとしないっていうか・・・」
「なんかつりあってないよねー、なんで付き合ってんだろ?」
こんな話がどこからか聞こえてくる。「どこにでもいるような人間ランキング」でトップクラスに位置する俺と穂華では似合わないだのつり合いが取れてないなどと思われているのだろう。はじめはくるものがあったが、高校からずっとこんな扱いを受けているから慣れたものだ。
俺もなんで付き合えてるのかは正直分からねぇんでぜひ、本人に聞いてみてくれや。・・・いや、めんどうなことになるからやっぱ聞くな。
高校時のある事を思い出してブルーな気持ちになったがすぐに切り替えることにし、周りのひそひそ話を聞き流しながら教室へと向かった
お読みくださりありがとうございます。素人なので、様々な感想をいただけると嬉しいです。
気ままに続きを投稿していくのでよろしくお願いいたします。




