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魔法高等学校に入学したら首席ではなく、次席なんだが  作者: 山田さとる
第二章 銃学科編
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戦闘実習③

「ふざけないでください」


「ごめん。ごめん、ジョークだから、桜子ちゃん。怒らないで。後で、湊くんを好きにしていいから」


九条は茶目っ気たっぷりに微笑む。


「本当ですか」


桜子が輝いた顔で、九条の手を握る。平松は、業務をしているように見えるが、桜子を羨ましそうに見ていた。


「俺の同意はないんですか?」


「それは会長権限でなし」


九条は目の前で✖️を作り、湊の消沈を横目にし、よりウキウキとしているようだった。


「それで、C組の早見先生の話ね?」


「会長、彼らが言うことを簡潔に言うと、レーザー光線みたいな電気魔法を目の前で見せられて、本当に魔法力が低い人間がそんなことできるのかという話です」


皆川の説明が入り、近くにあった椅子に座り直した九条は頬杖をついて考えはじめた。


「魔法力がない、でもレーザー光線のような高出力の魔法が銃のデバイスで撃つことができることね。

う〜ん、銃デバイスはあちら《アメリカ》の方が進んでいるから。私たち日本人の方が遅れているのよね」


 たしかに、銃の進歩はアメリカの方が数倍以上で、銃規制が解除されたのも、その遅れを取り戻そうとした面が大きい。アメリカは仮想敵国ではないが、国際情勢が緊迫してる昨今、戦争に巻き込まれた際に、銃デバイスを使える人材や銃の知識を持つ人材を増やすための緩和であると言う見方もあるが、本当のことはわからない。

 九条はふと気がついたように、近くにあるコーヒーポットを沸かしはじめる。九条はこの部屋を自室にいるように使っている。コーヒーポットや、ガスコンロは九条の私物だ。冷蔵庫は生徒会のものだが、殆どが会長のお菓子入れになっている。


「不思議になんですよね。早見先生、経歴から見ても、なんで魔法高等学校に来たのか?確か、アメリカでも一握りしか入れない魔法工学部隊に所属していたんですよね?」


湊は、コーヒーを淹れながら、鼻歌を歌っている九条に問いかける。


「魔法工学部隊にいたというのは本当の話ですね。早見先生はよくわからないのよ。噂が尾鰭をついていて、魔法工学部隊で問題を起こして国外追放になったとか。色々ね。でも、あなたたちの先生としては素晴らしい先生だと思うわ」


九条は話しながら、ありえない量のグラニュー糖を入れていた。九条は激甘が好きらしいが、それならコーヒーを飲まなければいいとおもうが、九条はポリシーを持って飲んでいるらしかった。


「そうですけど・・・」


「レーザー光線の話だって、早見先生から一応説明があったんでしょ?」


今度は九条が有名なフエール・リモーニのチョコレートをもぐもぐと食べ出して、桜子もその隣で追随ついずいするように食べている。


「そうですね。会長。一瞬の出力で発射させることで、魔法力もかけずにレーザー光線になるようなこと言っていましたね」


「それは変ね」


会長が、チョコレートを桜子に与え、餌付けさせながら答える。


「変とは?」


「電気魔法は私も得意分野だけど。一瞬で魔法を出力させるだけで、レーザー光線のような威力やスピードは出ないと思うわ。魔法銃もそこまでの速さは出ないはずよ。・・・おかしいわね」


九条が考えている傍ら、桜子が恍惚とした顔で感想を述べる。


「このチョコ、美味しい」


「えっ、全部食べちゃったの?」


九条の手に持っているチョコの箱には先ほどまであった色とりどりに彩られたチョコレートがなくなっていた。


「だって、会長がチョコを私の口に放り込むから・・・・」


「ウソー」


九条は半泣きにながら、空になったチョコレートケースを見て、桜子の頬を摘んで八つ当たりをしていたのであった。



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