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魔法高等学校に入学したら首席ではなく、次席なんだが  作者: 山田さとる
第一章 生徒会勧誘編
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会長vs首席①

平松小和は、自身の刀型デバイスを持つ。すると、刀から魔法力が発散した。


「何これ?」


平松の意識とは関係なく、魔法が展開しはじめる。



「お前と話すのは、初めてだな」


平松は自分自身にとって、受け入れ難い現実が前に現れていた。


「お前さんと話す時には、これを見た方がいいな」


陽炎(かげろう)は魔法デバイスから溢れ出した魔法力を使い、平松小和に何かを見せた。平松はそこに何かがあるように、話しはじめた。



「お父さん?」


平松は涙を流しながら、虚空を掴もうとする。実態のない者には手を触れることができずに、戦闘場の床につまづき、倒れてしまう。


「お父さん、お父さん、辞めてよ。そんなことしないでよ。私のそばで私のことを見ていてよ。何で見ず知らずの人の不幸に関わるの?」


「お父さん、人斬りを辞めて」


(いや)、辞めて」


「嫌」


「嫌」


「嫌」


「嫌」


「嫌」


泣き叫ぶ女の子の前で何を見ているのかは、想像ができたが、決して、他人にはわからない悲しみであった。異様な光景を目の当たりしている湊、桜子、会長、佐伯は、動けずにいた。


「平松」


湊が駆け寄ろうとするが会長に止められる。


「今は危ない状況だわ。陽炎がいつ攻撃に展開してもおかしくない」


「だって、平松が平松があまりにも・・・・」


湊は目の前で、泣きじゃっている平松があまりにも悲しそうにで。救われないといけない人物がそこにいたからだ。


「もう、こんな世の中壊れればいい、お父さんは人のためを思って、人を斬ってきたのに。毎回、人を斬る時にお父さんは泣いていた。あんなに心優しいお父さんが人のためを思って、殺さないといけない世界を作ったこの世界に復讐する。あまりにも報われない。だから、私がこの世界を壊す」


陽炎は平松小和に見せていたのはお父さんとの思い出ではなく、父親が人斬りをしているところであった。


「私がいくわ」


九条藍子は、ポシェットから刀のデバイスを持って、バトルフィールドで待ち構えている平松小和のところに向かった。


「あなたのお父さんは、優しかったかもしれない。でも、人を斬れば、救われる優しさなんてない。あなたの家は優しさの意味を履き違えているわ」


九条藍子にとっての優しさと平松小和にとっての優しさは完全に否定できない。そこにあるのは誰も解決できない、悲しみだ。


平松は九条にくってかかる。


「あなたに理解されようとは思えない。でも、あなた如きの物の見方で、お父さんを侮辱するな。燦然梵天(さんぜんぼんてん)


平松は輝く刀身で九条を斬りかかる。九条は、自身の刀のデバイスで刀を受け止める。


「あなたの攻撃はこの程度?」


湊がギリギリにかわした攻撃を最も簡単にこなしてしまう。


「私からいくわよ。黙雷変幻(もくらいへんげん)


九条は今まで以上に、高速に平松に太刀を雨霰(あめあられ)のように浴びせる。


「くっ」


平松は先程の猛攻と違い、防戦一方の局面に立たされた。


「すごいな九条会長」


「会長は普段優しいが、九条家の免許皆伝だ。会長の優しさの根拠は、あの強さにあるんだ」


湊と佐伯と話す。一方で、桜子は、戦いの行方を心配そうに見ている。



「平松さん、先程の攻勢はどこに行ったのかしら?そんなんじゃ、お父さんも(むく)われないわよ」


九条は必要に平松を(あお)る。



変蓮業火(へんれんごうか)


平松の攻撃は九条の刀によって、なぎ払われる。睡蓮の花は、茎から切り落とされる。


「なんで、なんで」


平松の攻撃は九条には通用しない。それがわかっていても、平松は九条に挑み続けるが、限界だった。すると、どこからともなく、声が平松に囁く。




「小和、お前の強い意志に対して、13代目、平松家継承者として認めてやる」


陽炎の声がバトルフィールドにこだまし、平松のデバイスが炎に擬態化したのであった。



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