過去との宿命③
「燦然梵天」
陽炎は輝く刀身で斬りかかった。湊は避けきれずに刀身を受けようとするが、そこに刀身はなく、深く斬り込まれた脇腹があった。
「ぐっは」
湊は吐血をして、自身が斬られたことを知った。
「技を使えるやつは珍しい。だから、殺したくないんだがな」
湊は脇腹を抑えながら、魔法で止血をする。
「俺は平松の復讐を断ち切ってみせる」
「一水」
刀を振り下ろし、水がぽたりとひと雫落ちる。一滴は次々と水をよびよせ、切り裂くような水流となって、陽炎を襲う。
「技を出すのいいが、芯がない。だから、俺の一振りで技が崩れる」
陽炎は振り上げた刀で切り裂く水流を割く。
「四見」
湊は魔法を唱える。湊は目を瞑ったまま、下段に刀を構えていた。
「同じことを。何度も・・・なんで、俺がいる?」
陽炎は驚き喚いた。
「この技は二つを合わせて、完成する」
一水四見はこの世ならざるものを、三途の川から呼び起こし、それを相手に見せる。この技で出現する人物は、人によって様々だ。
陽炎が見ている湊は陽炎自身であったらしい。彼の肉体は600年の前に、あの世に行ってしまい、今も魂の帰りを待っている。
「お前は何人殺してきた?」
湊の意思と関係なく、言葉が出る。
「やめろ」
「お前は人斬りは本当に人が救われたのか?」
陽炎の刀が震えはじめる。600年以上の前に何があったか、わからない。しかし、陽炎の目の前にいる人物は確かに人間であったはずだ。陽炎が人間として生きていた時期があったのかもしれない。今の陽炎はそれすらも忘れてしまうくらい、人を殺してしまっていた。
「やめてくれ」
「炎威」
湊が技で扮した陽炎は自身を炎に包む。そうすると、平松に取り憑いた陽炎も発火する。
「うっ」
「この技は自分が一番恐れていることが目の前で起こり、自分自身も同じ運命をたどる」
湊は悟ってしまった、陽炎は炎を自分につけて死んだのだと。
「お前は生前、自殺したのか?」
平松には燃える炎がうつらず、陽炎の霊体だけが燃える。湊自身も燃えているように見えるだけで燃えてはいなかった。
「なんで、またこんな思いを」
湊の質問の答えはなかった。炎の中で燃え続ける陽炎の霊体は半分以上が消えてしまっていた。
「俺はいったん消えてやる。だが、平松がまた、柄を取った時、俺はまたこの世に出られる。平松の憎しみを取り除かないと俺は生き続けられる」
陽炎の霊体は消えてなくなってしまった。残された平松は倒れてしまい、湊も斬られた傷口が開いてしまい、気を失ってしまっていた。
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