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鉱山探索ー1

 街を出発してから三日。目的地である鉱山に到達した。


 宝石商からここの情報を得てから、ギルドなどで情報を調べはしたが、大した情報は得られなかった。


 手がかりもない以上現地調査を行うしかない。


 まずは鉱脈の発見が最優先。ほかの痕跡などがあれば尚良し。


 事前に仕入れた情報では普通にモンスターが生息しているということは分かっている。


「この先は基本的には洞窟と坑道が入り混じっている状態だ。基本的には一列で進むことになるから、俺、マリナ、ポチ助、メルトの順でいくぞ」


「私は後衛ですね。後ろからの敵は任せて頂きます」


「あたしは弓で攻撃かな?」


「そうだな。俺とメルトを打つなよ」


「失礼な。今まで当てたことないじゃん」


「わふ?」


 ポチは自分は?という顔。


「ポチは基本的には荷物持ちな。あと、マリナが危なそうだったら助けてやってくれ」


「わふ!」


 今は狼状態のポチ。道中色々武器を試してみたが、どうにも獣人状態の体の動かし方がしっくりこないのか、まだまだ練度が足りない。ボウガンでの援護くらいならできそうだったが、それならマリナと連携を組ませた方がまだましという感じだ。


 今後の課題の一つだな。


 方針もまとまったところで早速乗り込んでいく。


 どうやら洞窟を掘り進めて奥まで続いているようで、入り口はかなり広い。全員が横に広がっても十分な広さがある。天井も高く飛んだり跳ねたりしても問題がないくらいだ。地盤も頑丈そうなので多少暴れても崩れることはなさそうだな。


「暗いねー。ポチ、アレかしてー。」


 ポチが背負うバックパックから水晶の棒みたいなものを取り出すマリナ。


「よーし。スーパーサイリウム!」


 七色の輝きを放つ、棒。色彩を変えるそれは非常に明るく、洞窟を照らすには十分な光量を発している。


「なあマリナさんよ。これ明るいのはいいんだけど、なんか色合いがうるさい」


「えー、この方が盛り上がるのに。仕方ないなぁ」


 ぴっと魔力を注ぐとその色合いが白色に変化する。最初からこれでいいだろう。


「ライブがあったらあたしの偉大さが伝わるのに」


 ぶつぶつよくわからんことを言うが無視。とりあえず光る棒はポチに咥えさせておく。


 ともあれおかげで明るくなったのは事実。


 この辺りには長らく人が立ち入った痕跡はないな。破棄された荷車の残骸などはかなり年期が入っている。


 モンスターの痕跡も特にないか。


 どんどん奥へ進んでいく。


 途中で発見できたのはかつて使われていたであろう採掘用の道具くらいか。


 数時間歩き続けてようやく、妙な痕跡を発見する。


 ぽつぽつと洞窟の奥へと続いていく糞。


 洞窟と言えば蝙蝠だろうか。


「そろそろモンスターも来るぞ。気引き締めていくぞ」


 俺の言葉が引き金になったかのように洞窟の奥から羽音が響く。


 来たか。


 そして、姿を現したのは案の定、蝙蝠。


 普通のサイズの蝙蝠は脅威でもなんでもないが、その中には明らかに大型のモンスターの姿もある。


 ファングバット。

 

 人ほどもある背丈と、その体の割に非常に大きく強力な牙が特徴。


 血を吸うとかそういう訳ではなく、普通に獲物を駆る。巨体に似合わず俊敏で空中からの襲撃に手古摺る冒険者も多い。今回は弓が使えるマリナとメルトもいるしさして問題はないだろうが。


 姿が見えると同時に、狙撃を行うマリナとメルト。


 防御力は低く、矢の直撃を受け、墜ちる。


 ここは楽勝だな。


 予想通りというか、見た通りというか、蝙蝠の攻撃は俺たちに届くこともなくあっさり全滅する。


 俺は何もしてないがな。


「なんかめっちゃ弱くない?あれ」


「いや、弓の性能のお陰もあると思うぞ。かなり威力あるだろそれ」


 鍛冶屋の親父曰く、ある程度のランクのモンスターを素材に使うことで、魔力に反応する性質を付与することが可能になる。そうすることで、筋力の不足を魔力で補い強力な一射を放つことができるのだとか。


 無論素材の質が高ければその分変換効率も上がるため、少ない魔力でより強い弦を弾く力が生まれる。剣でも同じように重量を軽減することができるため、原理は分かる。


 剣の場合は常に魔力を吸われるというデメリットが存在するが、弓であればそのデメリットが薄く、モンスター素材との相性がいいという訳だ。


 

「そうですね、マリナさんの新しくなった弓は中々上等ですね。私の弓も結構な業物ですが、それを超えていますよ」


 メルトからのお墨付き。強いはずだ。


 徐々に洞窟という雰囲気から坑道に様変わりしていく。


 このあたりから採掘を行っていったという感じか。


 しかし、適当にピッケルを振るってみても掘れるのは極わずかな鉄鉱石くらいのものだ。この辺りは掘りつくされた後だな。


 更に奥を目指して進むことにする。


 蝙蝠の数が徐々に増えていく。


 蝙蝠が増えるということはこの奥にはその食料が豊富に存在するということになるのだが、洞窟の中にそこまで大層な生態系が広がっているとは考えにくい。どういうことだ?


 その疑問は比較的すぐに解消される。


 ある程度進んだところで坑道に水音が響く。


 この音は滝か。耳の良いメルトはとっくに気づいていたようで。


「近くに川か何かがありますね」


「だな、水辺の環境次第だが、そこでいったん休憩にしよう」


「さんせー」

 

 慣れない坑道散策で疲れがたまったのか、少し疲れた声のマリナ。

 

 ペットどもは平気そうだ。


 そして目の前に広がったのは幻想的な風景だった。


 だだっ広いドーム状の空間を横断するように滝を擁する大きな川が流れている。


 ところどころに点在する岩や壁には無数の光るコケが繁殖し光を放ち、空間全体を青白く照らしている。


「綺麗だねー。ちょーエモイじゃん」


「ここだけでも観光資源になりそうですね」


「私も、一目みたいですっ。おおぉ」


 急に飛び出してきたベルも含めて三者三様の反応を示す。


 女子受けはばっちりらしい。


 しかし、ここは魔力が豊富なんだろうか。


 レアそうな生物がちらほら見受けられる。


 壁に張り付いている七色の虫。戦闘力もなさそうだし、無害そうだが。


 水中にも銀色や金色の魚が群れに交じって泳ぎ、両生類や爬虫類も見られる。


「なるほど。ここに生息する魔力の濃厚な生物を食することで、モンスター化するということでしょう」


 メルトの分析。俺も同意見だ。


「でも、ここにはモンスターっぽいのはいないね」


 確かに。ここにいるのは小型の生物が変異したものくらい。モンスターと呼ぶにはいささか脅威度は低い。


「妙だな、こんな環境があるのなら変なモンスターの一匹や二匹湧いていても不思議じゃないんだが」


「少しこの空間を調べてみるべきですね」


「ベルは何か感じるか?」


「魔力の濃度が濃いということ以外は特に不思議なことはないですね。川の上流、滝の向こう側に大きな魔力の塊が存在する様子ですが」


 滝の向こうか。


 先に進む前に安全なここで一休みしておくか。


 メルトに鑑定してもらうと、水は極めて安全。魔力も豊富で回復にはうってつけ。


 ちょうどいい。


 飯は魚を取ればいいだろう。


 ちょっとしたピクニック気分で食事を満喫していると、川底にキラキラしたものが目に付く。


 手に取ると、それは光る水晶の欠片。


 例の宝玉の元になる水晶と同じものようだ。


 試しに魔力を流し込み、変化をみると例のものと同じ色合いになる


 メルトに鑑定してもらっても間違いない。


 上流から流れてきたと見ていいだろう。


 滝の高さは結構なものだ。


 俺なら無理やり飛んで上ることも可能だが、マリナたちが置いてけぼりになるな。


「メルト、あそこまで登れる足場は作れそうか?」


「ええ、少し魔力を消費しますが、ここなら回復も早そうですので問題ないでしょう。それでは、ウッドステップ」


 メルトが魔法を発動させると、枝が螺旋階段上に伸びる一本の木がにょきにょきと生えてくる。便利だなこれ。


「まずは俺が様子を見てくるから、合図したら上ってきてくれ」


 木を駆けのぼり、その先の光景を目にし、思わずわが目を疑った。

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