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シルバーベア再び、

熊を適度に抑えつつ、その場に止めること数時間。


 すでに日が昇り始めた。


 月光花の花もそろそろ閉じるころ合いだし、時間的には丁度いいか。


 槍を地面に突き立て、交戦の意思がこちらにないことを示す。


 さすがに長時間戦った個体は自分との実力差に気づいているのだろう。俺の意思を汲み取り、爪を下ろす。


 そして驚くことに頭を垂れる。


 「クウウウウ」


 完全に敵意は無いということか。


 一回試してみるか。


 適当に巣の残骸から蜂の子をつまんで与えてみる。


 咀嚼音だけが響き渡る。


 そしてしばらくすると、熊がこちらにすり寄ってくるようになる。


 あー、やっぱりテイムできるんだな。


 今までモンスターに餌付けする経験なんてなかったから気づかなかったが、誰でもできるもんなんだろうか。考えても答えは出なさそうだが。


「それじゃあ、一緒に来るか。と言いたいところだが、あいにくこっちも手狭だしなぁ」


「ぐる?」


「お前には一つ頼み事をするよ。この地域の守り神になってくれ。森で迷ってる人間がいれば導いてほしい。お前たちに敵対する者には立ち向かってくれていい。でもそうやって人を助けてやればいずれ人間もお前たちに危害を加えなくなるはずだ。できるか?」


「がう!」


 グレイベアが頷く。それと同時にその体毛が銀色に染まっていく。


 さっきまでグレイベアだった個体は完全にシルバーベアに変異している。決意の現れといった所だろうか。

 

 なかなか面白い現象だ。学者連中にはいい研究材料になるかもしれん。


「また、会いに来る。その時までお互いに元気でいような」


 

 その後、ホールイートのギルドではこんなうわさが囁かれる。


 森の奥に踏み入り、重傷を負った冒険者が数か月後に街に舞い戻る。その際に白銀の毛皮を持つ熊に看病をされた。


 家出をした子供が森の奥で熊に出会った。蜂蜜を手土産に戻ってきた。


 次第に、森の奥に住まうシルバーベアは人々の信仰の対象になっていくがそれはまた別の話。




 無事にマリナ達と合流すると、荷台には大量の月光花が摘まれていた。


 採集は順調に行ったようだ。


「おじさん見てよ、大量だよ!」


「おお、こんだけありゃ結構な稼ぎになるな。よくやったぞマリナ」


「えへへ、もっと褒めてくれていいんだよ。それとね、これ」


 そう言ってマリナが、荷台の奥から引っ張り出してきたのは深紅の蛇皮。


「もしかして、レッドスネークか?」


「そうなの。花を探してたら襲われちゃって。ベルと二人で何とか倒したよ。聞いてよ、炎の魔法が全然効かないし、でかいから弓もあんまりダメージにならないし、大変だったんだよ」


「あの魔法使ったのか?」


「ううん。あれでもよかったんだけど、ちょっと使い勝手悪いから、新しいの試してみたんだ。今度見せてあげるね」


 また、破天荒な魔法を編み出したらしい。こいつの光の魔法はどこまで進化するんだろうか。


 楽しみなような怖いような。


 強くなってくれるのは歓迎だが、そのうち手に負えなくなりそうで怖い。


 ともあれ、受けた依頼はこれで完結だ。素材も結構な量が手に入ったことだし、当面はこれで十分だろう。


 ただ、この辺りでは吸血鬼の情報はまだ手に入っていないのが現状だ。


 やはり例の鉱山に向かうしかないか。


「そろそろ師匠もこっちにつくころかな?」


「何で来るかにもよるが、早いともうついてるかもしれんな。一度街に戻るとするか」


「さんせー」


 俺たちが街に戻ったのは丁度昼頃。


 報告がてらギルドで飯を食っていると、先日の騒ぎの原因になった冒険者が声をかけてくる。


「お、旦那、丁度いいところに。さっきエルフの嬢ちゃんが旦那のことを探して、ギルドでうろちちょろしてたぜ」


「俺の連れだな。今どこにいるか分るか?」


「旦那の宿の場所は案内しておいたからそっちにいるんじゃねーかな。それにしても随分ぺっぴんさんばっかり連れてるじゃあねーか」


 ぐへへ、と下品な笑いを浮かべる。


 当のマリナはべっぴんさんだって!とはしゃいでいるが。


 なんで宿の場所を知ってるんだと思ったがよくよく考えると、酔っぱらった俺を宿まで運んでくれたのはこいつだった。


「ともあれ宿にいるなら早めに合流したやった方がいいか。とりあえず助かったよ」


「いいってことよ。面白い話の礼だ。気が向いたらまた聞かせてくれや」


 そういって、手を振りながら去っていく。なんというか気のいい奴だ。今度会ったら名前ぐらい聞いておくか。


「師匠迎えに行こうよ。一人で待ってるのも可愛そうじゃん」


「それもそうだな。マリナは先に宿に行ってくれ。おれは鍛冶屋に行ってから合流する」


「分った!ポチ、ピイ助!いくよー」


 ペットどもを引き連れていくマリナを見送り、鍛冶屋に向かう。


 オーダーしたのは、マリナの武具の強化。


 女王蜂の外殻とレッドスネークの皮を現在の装備に組み込む形になる。


 シルバーベアの皮鎧を女王蜂の外殻で強化し、軽量化と防御力の強化を行う。


 弓と小手にはレッドスネークの素材を用いて、火に対する耐性を向上させる。最近威力の上がったマリナの魔法に耐えきれるようにするためだ。


 作業自体は明日には完成するとのことなので、それまでは街でゆっくりすることになりそうだ。


 宿に向かうと、少しやつれたメルトが出迎えてくれる。


「これは、アート様お久しぶりです」


「なんか疲れてないか?大丈夫か?」


「そうですね、ドラゴンの背というのは何と言いますか刺激が強かったですね。うっ」


 どうやら乗っているときのことを思い出したらしく青い顔になるメルト。


 慣れないうちは俺も苦労したなとそんなことを思う。


 横にいるマリナはドラゴンいいなぁと、羨ましそうな視線を向けている。


「久しぶりにマリナのレベルとか見てみたいんだが頼めるか?」


「ええ、それは構いません。それではせっかくなので皆さんの分を見ておきましょうか」


アート ヴィンドラム


レベル 73

属性 風、強化(雷)


筋力 3200


魔力 2400


器用 4500


瞑想 1200


パッシブ ブレスオブドラゴン

 勇者の願い

 達人芸

 巡魂の呪い

 ファーストテイム

他32


 俺はフォーストテイムを新たに取得している。

 他は特に変わりなしか。




サガミ マリナ


レベル22


属性光、炎


筋力300


魔力700(+900)


器用400


瞑想800


パッシブ レプタイルキラー

 テイマー

 加護ベル



・テイマー

 モンスターのテイムが可能。テイム数の上限が5になる。


加護ベル

 精霊の加護

 魔力の共有を行うことが可能。


 マリナはテイマーと精霊の加護がスキルとして追加されている。


 レベルも順調に上がっている。驚くべきは共有されていることで魔力の総量がかなり高いこと。



メルト リーブラ


レベル38

素質森、回復、鑑定


筋力900


魔力1200


器用1300


瞑想850


パッシブ 森の加護

 可視化



 メルトは順調にレベルが伸びている。


 グール戦のお陰もあるんだろうが、普段のトレーニングが効いているんだろうな。



ポチ



レベル20



筋力850


魔力200


器用200


瞑想180


パッシブ  魔力開放・改

  絆


種族ダイアウルフ



・魔力開放・改


 条件を満たすことで魔法「進化」が使用可能


種族 山狼→ダイアウルフ


 に進化可能


 ポチは進化が可能になっている。

 試しに行ってみたところ体が一回り大きくなるとともに、褐色だった体毛が白銀と深い藍色に変化した。

 条件ってのはおそらくステータスが基準値に達することなのだと思う。


 森で出会ったシルバーベアもおそらく同じ条件だろう。



ピイ助


レベル10

素質体積変化


筋力400


魔力300


器用50


瞑想200


パッシブ 魔力開放

 絆


種族オニスズメ



 ピイ助は初めてステータスを見たが、まあこんなもんだろう。

 体積変化が使えるのは知っているが、モンスターにも素質があるんだな。


 ベルは鑑定を行ったが、測定ができなかった。


 おそらく精霊として不安定なのが原因だろうとのこと。



 これで全員分のステータスが見れた訳だ。


「はい、終了です。それにしても、私がいない間にオニスズメをテイムしていたんですね」


「この子のお陰でポチも一緒に街に入れるようになったし、実は結構よかったのかも?」


「そこに関しては結構驚きなのですが。それにしてもポチさんは進化ですか。興味深いですね」


 メルト的には結構刺さる話題らしい。


「ピイ助さんもそのうち進化するのでしょうか?」


「ぴい?」


 小首をかしげるピイ助。オニスズメってどこにでもいるが、上位種なんて存在したか?


 それはその時にならないとわからないか。


 明日は準備に当て、その翌日には例の鉱山に向かうことを伝え、しばらくは自由行動とした。


 俺はもちろん寝るがな。疲れたし。




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