霧の少女 ~追跡と罠の始まり~ ⑤
ティルシスもアルスに続くよう眠るのであった。
翌日。
普段、持ち歩いている干し肉をティルシスと分けて食べた後に焚火をした後を跡形もなく片付ける。
そして、北の地へ向けて歩いている真っ最中である。
アルスとティルシスは西の地を離れるまで追手が来ないか警戒しなければならない。
なにせ、ハスティルアの町で大暴れして多くの犠牲者を出したティルシアとティルシアの共謀者アルスとして今頃は捕まえるべく国に支援を求めて探し回っているかもしれないからだ。
だから、町や村をなるべく避けてけもの道や森の中を選んで進んだが、通常ならまれにしか巡回しないはずなのにやたらと兵士の数が多いため、西の地の国であるソルディア王国の兵士に出くわしそうになっては身を隠していた。
しかし、西の地の国境まではあと2か月もかかってしまう。
近道をしたとしてもあと1か月というところか、アルスはこの状況でなんとか見つからずにやり過ごせないかと考えながら、ティルシスとともに危うい旅を進めている。
そんなある日の野営の時である。
ティルシスが横になりながらアルスに話しかけた。
ティルシス「アルス、北の地に着いたらどうするの?」と、今後のことを聞いてくる。
アルスはそれを聞いて少し考え込んだ様子でしばらくうつむく。
アルス(僕にもまだ北の地に着いたら何をするか考えていない。だが、僕の先祖僕ならぬ僕の秘密やティルシアの秘密を知るには、北の地に行くしか方法がない。)と、半ばもやもやしていた。
それからティルシスに静かな声で話す。
アルス「実のところ着いてからのことは何も考えてなかったよ。それよりも人の目になるべく見つからないように国境まで目指すのに必死になってたんだ。でも、着いたら何らかの方法で手掛かりを探そう。」と、言いながら地図らしきものを広げながらまた考え込んだ。
ティルシスはただ「そうなのね・・。うん、そうだね。」とだけ言って浅い眠りにつく。
アルスはその様子を見ながら(だけど、なんでこんなに順調に進めたんだろう。今までは危なっかしい場面もあったけど、結局何もなくここまで来たが、あまりにも不自然すぎるような気がする。恐らく国境に着いたときにそれが分かる気がする・・。)と、いやな予感を感じている。
それからしばらくあれこれ考えながらも周りに注意を払いながら見張りをしていたら、いつの間にか時間が過ぎて交代の時間になっていた。
ティルシス「んむにゃ・・。アルス、そろそろ変わるからアルスも寝て。明日はもっと強行軍するのでしょ?」と、寝ぼけながら見張りの位置につく。
アルス「ん?あれ、もうそんなに時間が経ったのか? じゃあ、あとよろしくね。」と、言いながら眠った。
続く。
更新に間があいてしまい申し訳ございません。
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