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霧の少女 ~追跡と罠の始まり~ ②

その後、アルスは石畳の道を大通りに出るまでゆっくりと何かを考えながら歩いていた。


アルス(ガスゴディという男は何かを隠している様子だった。でも、今はまだ確信がないけれど、いずれにせよ5日後はハスティルアの町ではハスティルア誕生祭がある。その時なら屋敷も手薄だろう。)


と、何としてでも例の少女に会っていったい何が起こったのか、自分の先祖に関係があるのかを確認したかった。


だが、それが悲劇の始まりだともまだこの時は知る余地もなかった。


5日後、ハスティルア誕生祭で町はにぎわっている。


アルスは両親にはロナと一緒に祭りを見てくると言って町長の屋敷の付近で夜になるまで適当に屋台や見世物を見てるふりをした。


そんなアルスをたまたまお使いで買い出しに市場まで向かっていたロナが見つけて話しかけた。


ロナ「アルス!よかったら一緒に買い物に付き合ってくれない?」と、明るい小鳥のような声で言う。


アルスは一瞬、どうしようかと迷った。


しかし、夜まであと4時間はあるし、せっかくだから一緒に行こうとアルスは決めた。


アルス「うん、よかったら一緒に買い物に付き合わせてくれ。僕、丁度暇だったんだよ。」と、少し肩をすくめながら言った。


それからロナとアルスはハスティルアのメインイベントである”ウォルタニアの花とソルシアの木”の儀式が始まるまで市場で買い物をしながら久しぶりに幼き頃のようにいっぱい話をして笑ったり、すねたり、泣き笑いをした。


だが、そんな幸せなひと時は淡い夢のようにかき消されてしまった。


屋敷のほうから突然、炎が激しく燃え上がり屋敷の付近にいた人々がハスティルア公園のほうへ逃げいている。


ロナとアルスは逃げてきた男性を捕まえて何事かと尋ねた。


男性「町長の屋敷から例の少女が逃げようとしている!それを止めようとしたら突然、少女が手から炎を出して屋敷を燃やしている。このままだとここにいる人間も殺されかねないぞ!!とりあえず、お前たちもに、逃げろおぉぉぉ!!!」と、切羽詰まりながら叫んで走っていった。


アルスは「すまないが、先にハスティルア公園に向かってくれないか?僕はまだ、やることがあるんだ。」と、真剣な顔でロナに話してロナの返事を待たずに屋敷のほうへ走っていこうとした。


ロナはそれをアルスが着ているマントの裾を引っ張って引きとめた。


ロナ「アルス、あなた一人で行ったところでなんにもならないじゃない。だったら、このまま一緒に逃げましょうよ!」と、どこか悲しさと寂しさがかすかに混じった面ざしで言った。


アルス「確かにそうかもしれない。けど、今僕が行かなければいけないことなんだ。だから、行かせてくれてないか?」と、冷静に面と向かって話した。


ロナはこのまま離してしまったら二度と帰って来ない予感がしていた。


だから離したくない、でも今、この手を離さずにアルスを引きとめたら、いつか後悔することになるだろうと心のどこかが告げていた。


ロナ「わかった・・・。でも、必ず無事に戻ってきてね!」と、手を離しながら半分涙声になりながら言う。


アルス「うん、必ず戻るからロナも無事でいて。」と、自分でも驚くほど穏やかな顔で呟いた。


そしてアルスは風のごとく走っていった。


ロナはそんな後姿を見ながら(とりあえず、自分ができることを全力でやろう。)と、自分の家へ向かった。


一方、アルスのほうは燃えさかる町長の屋敷に着く前にたくさんの警備兵が槍と盾を構えながら何かを包囲していた。


だが、よく見てみると片手に赤黒い炎の剣、もう片手に水の鞭を持っていた。


その光景を見てなぜか一瞬、ふらついた。


そして、そのまま倒れてしまった。


続く

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