過ちと呪い そして 現在の思い
「漆黒ノ炎使イトハコノ世ノアラユル悪ガ炎トナッテ具現化シタモノデソレヲ自分ノチカラトシテ扱エルノハコノヨデタッタ一人ダケダ。ソシテソノチカラヲ我ガ物ニデキルモノハ生レルトキニ左腕ニ赤黒イ炎ような痣ガデキル・・・・」と、謎の声は言った。
(お前は誰だ?なぜいつも僕の頭の中に入り込んでは、訳の分からないことをささやいてくる?)
意識が眠りの底から混沌の底に沈んでいた。
謎の声「ソナタハ我ガ友ノ子孫デアリ"ハスティ"ノ意思ガソノ魂に刻マレシ者ダカラダ。私ノ正体ハ今ハ言エナイガ、イズレ霧ノ森デ出会ッタ少女トソナタに刻マレシ意思ヤ過去、ソシテ過チヲ追エバ、私ノ正体ガ分カルダロウ・・・。」と、その声はまるで何かの化身であり、忘れ去られ、そして戻る場所をなくした亡霊のような声だった。
(そうか・・。僕の先祖とお前が過去に何かあったかは、僕にはわからない。だが、先祖が犯した罪は子孫が正すべきだ。)
少年は決意した。
「ソレトソナタニハアル呪イガカカッテイルゾ。」と、声は呟いた。
(え?どういうことだ?!)
少年は体中が一瞬、こおった。
「呪イトイッテモ命ヲ奪ウヨウナモノデハナイヨ。タダ私ト接触スルタビニソナタノ意識ガ死二近イ状態ニナルヨウダ。」と、静かな声で呟いた。
(そうか・・。)
少年はそれを聞いた途端、気持ちが沈んだ。
「サァ、ソロソロ向コウニ戻リナサイ。」と、
ささやいた瞬間に少年の背中をやさしくおした。
最後に「ドウカ、私タチノ過チヲ正シテ平和ナ時代ヲ作ッテクレ・・・。」と、少年の耳に届いた。
そして、アルスは体に戻った。
ロナ「アルス。体は大丈夫?」と、心配そうにつぶやいた。
アルス「うん、もう大丈夫だよ。それよりも例の少女はどうしている?その子に会って話したいことがあるんだ。」と、真剣な顔で話した。
ロナはしばらく顔をうつむいたまま何か考え込んでいた。
それから
ロナ「ごめん。今は会わせることができないの。今、町長の指示で尋問を行っている最中なのよ・・。」
暗い顔で言った。
アルス「そうか、しょうがないよ。あの霧の森から出てきたのだから・・。でも、まさかと思うけど、拷問まではやってないよね?」と、
冷や汗をかきそうな気持でつぶやいた。
ロナ「たぶん、それはないと思うわ。でも、あれから例の少女に関しての情報は遮断されていて、詳細を知りたくても無理なのよ・・。」と、
(なぜだ?)
アルスはロナの話を聞いて疑問に思った。
アルス「そうなんだ。それは変だね・・」と、何かを考えながら呟いた。
そんなアルスの様子を見守っていたロナはなにか、大変なことをもくろんでいるように見えていた。
ロナは内心、アルスを怖くもあの日以来、どこか遠くに行ってしまったようで寂しくも悲しくも思った。
続く