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始まりの過去 そして 終わりの記憶。


(ここは・・どこだろう・・・。何もない。あの世のような暗闇だ・・・。)


アルスはロナが北の森で謎の少女が森から出てきてその場で倒れて、先に町まで戻って助けを求めに行ったことも、その後、姿を現さない何者かの声が頭の中に入ってきて自分が倒れて意識を失ったことすらも今は忘れていた。


そして、あの世でもあり、この世でもある空間でアルスの魂はさまよっていた。


彷徨っているうちに目の前に知らない光景がいつの間にか広がっていた。


それはある人物の記憶を見ているようだった。


「ミュルス、見て!今日は星がたくさん見えるよ!!」


青年は、はしゃぎながら親友らしき者にむかって言った。


ミュルス「ハスティ、もしも生きて俺たちの美しき故郷に帰って来られたら、また昔みたいに、二人で武術の稽古をしたり、議論したりしような。そして、いつかは二人とも大切な人を見つけて幸せに暮らそうな。」と、


言いながら、星を希望と切なさの瞳で眺めていた。


ハスティ「そうだな、でも今回の任務はとても危険な任務だが、きっと生きて帰れるさ。だって、俺たちは今まで数えきれないほどの困難や試練を乗り越えてきたじゃないか。だから、今があるんだ。そ

それに今回の案件は俺たちの生まれ故郷の存在意義に関わることだ。この任務は絶対に成功させなければならない。そのためには今回の黒幕であろう漆黒の炎使いクスラテ・クォールの行方と計画を阻止せねば・・・。」と、


ふと、少し暗い顔になった。


ミュルス「どうした、いきなり暗い顔になって。なにか、気がかりでもあるのか?」と、親友の顔を見て、言った。


ハスティ「いや、何でもないさ。ただ、一瞬だけ未来が見えた気がするんだ。いつか、俺たちのこの会話を俺の子孫であり、俺自身でもある一人の青年になりかけの少年があるきっかけで見て聞くことになるとね。そして・・・、いやこれは言わないでおこう。」と、


切ない微笑みを浮かべた。


ミュルス「そうか、それにしてもお前はたまに訳のわからないことを話すよな。」と、

やれやれと、少しあきれた様子でつぶやいた。


ハスティ「あはは、すまないな。でも、今話したことはたぶん、本当になると思うんだ。真面目な話ね。」と、


焚火に薪を足しながら、言った。


そこでアルスはハッとした。


この二人は自分に何か、つながりがある人物であり、しかも自分が二人の会話の一部を見聞きすることをすでに予測していた・・・。いや、そうなると確信していたのだ。


驚きと未だに信じられない気持ちの渦に一瞬、のまれていた。


しかし、次の瞬間、どこからか頭の中に先のハスティとかいう男の声が入ってきた。


それと同時にアルスが見ていた誰かの記憶の中にあった光景が渦を巻くように薄れていった。


そして、声の主はアルスにこう話しかけてきた。


「アルスよ、お前は私の生まれ変わりに等しい存在であり、私の精神の一部を受け継いでいる最後の一人だ。先ほど、お前が見ていたものはもう気が付いているかもしれないが、俺の記憶の一部だ。


1000年前、私とミュルスは今のラスラン国が建国される前のまだ国ではなく、村だった頃の時代に生まれ、そして共に兄弟のように育った。


だが、ある任務がきっかけでまだ剣見習いの私たちは村長に呼ばれた。


その頃の私たちは外の世界を見て回りたくてうずうずしていた。


だから、剣見習いだった私たちは村長に呼ばれたことで心が躍った。


外の世界には、どんな体験が待ち構えているのかってね。


しかし、村長から聞かされた話はあまりにも絶望的だった。


なぜか?


2代目漆黒の炎使いが生まれ、赤黒い炎ですべての大地を支配しようとしていたからだ。


そして、私たちが聞かされた時にはもう、私たちが住む西の大地しか残されていなかった。


あとの大地はすでに支配されてしまっていた。


村長はこの西の大地を守るためにすでに支配されてしまっている大地まで行き、計画を阻止するように指示され、私たち二人はまずは北の大地にむかって長い旅をした・・・。」と、


話が途中で途切れてしまった。


アルス「それでぼくに何をさせたいのですか?」と、声の主に聞いた。


声の主はただ一言、最後の力で「アルスよ、今この時、再び2・・代目・・・の漆黒のほ・・のお使いが・・蘇らんとしている。時間が・・・ない・・・・。」と、言い残して再び闇の向こう側に消えてしまった。


アルス(いったい、ぼくに何を伝えたかったんだろうか・・)と、疑問に思っていたその瞬間、なにかにはじかれたような感覚を感じたと思ったら、今度は体が重く感じた。


目を開けてしばらくはかすんで見えなかったが、次第に視界がはっきりしてきた。


続く

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