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霧の少女 ~追跡と罠の始まり~ ⑥


それから二人は早朝になると、近くで実っていた木の実と残りわずかな干し肉を食べて再び国境へ急いで歩き出す。


今、進んでいるけもの道がある森を抜けるとアシアンの山脈という年中雪が降っていて運が良ければ、雪吹雪にやられずに越えられるが、下手をすれば、雪吹雪で前方を見失って迷子になって餓死するなんてこともあるような山脈だ。


しかし、誰にも見つからずに国境を超えるには、アシアンの山脈を越えなければならないが、万全の準備をしないで町を出てしまったので春の服のままだった。


ティルシスもシンプルな白いワンピースに血やら泥がついて薄汚かったし、あちこち破れててとても山脈を越えられそうになかった。


アルスはあと一歩で森を抜けるというところでふと立ち止まってティルシスのほうに振り返る。


ティルシス「な、なに? いきなり立ち止まってどうしたの?」と、少し驚いていた。


アルス「ティルシス、この森を抜けたら2~3日でアシアンの山脈に出るんだけど、ぼくらの服装じゃとても寒すぎてすぐに凍死してしまう。だから、山脈のふもとにある村である程度は準備したいんだけど、良いかな?」と、真顔で言う。


ティルシスは少し考え込んだが、やむを得ないと思い「うん、わかった。」と、了解した。


アルスはその言葉を聞いて少し安心して「よし、じゃあ夜までにアシアンの山脈のふもとにある村付近で野宿できるように先を急ごうか。」と、少し微笑みながら歩きだした。


森を抜けて草原になり、やがて草がまばらになり岩だらけの場所をアルス一行は、歩いている。


日も出発した時は、地平線に半分昇っていたが、もう西のほうに日が落ちかけている。


ティルシスはどれぐらい来たのだろうと気になってアルスに話しかける。


ティルシス「ねぇ、目的の村まであとどれぐらいあるの?」と、アルスの横顔をジーっと見つめながら言う。


アルスはなぜそんなに見るんだというような表情をしながら地図をカバンから取り出して「たぶん、地形的にイルシア高原地帯をもう少し歩いたらアシアンの山脈が見えるはずだからあともう少しだ。」と、地図に描かれている大陸の中に描かれている地名や地形を説明する姿を感心しながら、聞いている様子のティルシスを見て少し引いた。


そして、ティルシスは目をキラキラさせながら「アルスって地図を読み取れるのね。すごい・・。」と、感激したような声で言う。


アルス「い、いや。なんでそこまで感激するの? 普通だと思うけど・・・。」と、言ったもののこの国では地図というのは、とても貴重な物なので一部の裕福な家にしかないのだ。


それを思い出して感激してもおかしくないかと思い直してアルスは「それよりも早く野宿できる場所を見つけないと獣に襲われかねないぞ。この辺りは狼がいるからね。」と、言いながら地図をしまって先を急ぐ。


ティルシスも急いでアルスの跡を追うのであった。


続く




今回も読んでいただきありがとうございます。


読者の皆様が読んでいただけることが私の励みとなるのでよろしくお願いします!

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