表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

プロローグ

私はラスラン国の第二王女だった。


あの悲惨な出来事が起きるまでは・・・。


私は生れつき四大自然の火、風、地、水を操る能力を持っていた。


しかし、その能力があるせいで人に狙われ続けた。


なぜなら、四大自然を操る能力があれば、一国を滅ぼし、自分が国王となり、支配できるからだ。


そして、私が15歳になった初夏の日に私の人生で最悪な出来事が起きた。


それは、私を生贄にして力を得ようと考えるラスラン国の第一伯爵家ローズラス・ハースンの計画が実行されたのであった。


その時、城の庭園を気分転換に月明かりがやさしく照らしているなかを散歩をしていた。


ローズラス伯爵「ティルシス・ラスラーン第二王女を必ずこちらの正体を悟られずに無傷で捕らえよ。」と、庭園の茂みのかげで部下たちに指示した。


部下たちは無言で了解し、それぞれの配置についた。


そして、ローズラス伯爵が合図を出すとともに部下たちは影のごとく行動を起こした。


私が気づいた時には能力を発動させる前に黒装束の男たちに囲まれ、口を覆うように布にしみている眠り薬で眠らされた。


それから半時が経ち、私は祭壇の上で手枷足枷をつながれた状態で目覚めた。


四方に蝋燭と儀式用のナイフと杯を持った金の刺繍入りのローブを着た男たちが魔法陣を中心にひかえていた。


(もう、この国にはいられない。逃げなければ・・)


扉の向こう側から一番信用していたローズラス伯爵が入ってきた瞬間、そう思った。


ディルシス「ローズラス伯爵、なぜあなたがここにいるのですか。」


理由はもう、なんとなく分かっていたが、理由をはっきりしたくて呟いた。


ローズラス伯爵「王女よ、今ここにいる私はあなたが知る、忠実で情け深いローズラス・ハースンではございません。ここにいるのは王女が生まれて四大精霊の力をあることを悟り、それを今、我がものにしようとしているローズラス・ハースンです。」と、


冷ややかな目で微笑みながら話した。


ディルシス「そうですか・・。では、もう私がここにいる意味はないですね。」と、言うと同時に炎を魔法陣と手足をつないでいる枷に放ち、枷の鉄を溶かし、魔法陣を浄化の炎で消滅させた。


ローズラス・ハースン「な、なんと、枷を溶かすとは・・。王女が逃げる前に捕らえよ!!」


驚愕しながらも冷静にそばに控えていた部下に命令した。


すべてを燃えつくさんとおどる炎の中から


ディルシス「無駄だ、私にはどんな呪縛も受けつけぬ。」と、柱の陰で結界をはろうとしていた魔術師を

水の力で窒息させた。


ローズラス伯爵「しかし王女よ、この館自体に結界がはられている。果たしてそなたに破れるか?」


またしても冷ややかな笑いを浮かべながらつぶやいた。


ディルシス「どうせ、そなたが張りめぐらしたのだろう。ならば、この手の結界は術者を排除するか、解除させるかの二択しかない。今すぐ、結界を解除するのならば、そなたの命まではとらない。さぁ、どうする?」と、


鷹のごとく鋭いまなざしで言った。


しかし、簡単に解除するはずもなく


ローズラス伯爵「もちろん、万が一の場合は王女を亡き者にするつもりでことを進めていました。」と、


剣を構えながら答えた。


ディルシスも炎を剣の形に変えて構えながら


「そうか、それがそなたの答えか、いいでしょう。そなたは私の信頼を裏切った。その罪はとても重い。dだが、命まではとるつもりはなかったが、この状況ではそなたを倒すほか仕方がない。」と、


つぶやき終わった瞬間、伯爵が攻撃を仕掛ける前にハヤブサのような速さで斬りかかった。


伯爵はそれを間一髪で受け止めてなぎ払い、反撃した。


ディルシスは余裕で避け、隙をついた。


だが、とどめをさそうとした瞬間に捨て身で伯爵が剣で腹を突こうとしてきたが、間一髪で避けた。


しかし、完全に避けれず、伯爵の剣が横腹をかすめた。


ディルシスは横腹の出血を抑えながら、首をめがけて振りかざされようとする剣をはらい、伯爵の心臓を貫いた。


ローズラス「ぐはぁ、な・・ぜだっ・・・!」


ディルシスは伯爵の胸から炎の剣を引き抜きながら


ディルシス「さらば、ローズラン伯爵よ。そなたは私を裏切り、私を利用しようとした。そして、私はもう、この国にはいられない。」と、


最後に涙を浮かべながら、立ち去った。


あらゆる空間が存在し、それのせいか年中霧の晴れない森があるという。


私はその森に向かった。


そして、数日後。


やっと、たどり着いた。


(もう、父上も母上も今頃は、私がいないことに気づき、探しているだろう。しかし、私の力はこの世に存在してはいけないのかもしれない。ならば、この霧の森の先にあるものに賭けよう。)


と、決心した。


しかし、霧の中に足を踏み入れた途端、霧に飲み込まれ、あらゆる苦痛が体を駆け巡った。



ディルシス「ギャアアアアアアアアア!!」と、私は耐えかねて叫んだ。


そして、いつの間にか意識が薄れて倒れた。


しばらく経って、目覚めた。


目覚めたときには、もうすでに今までの記憶が消えていた。


(ここはどこだろう・・。出口はどこだ。探さなきゃ・・・。)


そうして何の目的なく、ただフラフラと霧の中をさまよい続けた。


どれだけ時間がたったのだろう・・・。


もう、何もわからなくなってきた・・・。


なんだろう、なぜか寒い、苦しい、つらい、悲しい・・。


そして、寂しい・・・。


そう思うようになった頃。


目の前に二つ人の影が見えた。


(人だ、私と同じ人だ!)


心に希望が芽生えた。


そして、最後の体力を振り絞って


ディルシス「ま・・待って・・・ど・・・どう・・・・か・・行かないで・・・」と、


霧の森を抜けた途端につぶやいた。


それからそのまま倒れた。



曇り空のある日。


近頃、町で噂になっている話に興味を抱いた幼馴染のロナ・イローナとアルス・リバーノンの二人は

町の北側にある森に向かっていた。


この二人の運命を大きく変えることになるきっかけとなった噂は、


”町の北側にある霧が濃い森の中で少女らしき人影が指先に赤黒い炎を灯らせながら、ただひたすら歩き続ける姿を北の森の近くにある、とある農夫が目撃したらしい。”と、ハヤブサのような早さで広まっていた。


噂の森の前までたどり着いた二人は曇り空のせいか、普段から霧がかかっている森がさらに陰湿で閉鎖的な雰囲気が漂っているのを感じて一瞬、足がすくんでしまった。


(もう、これ以上進まないで、また出直したほうがいいかな・・。)と、心の中でそう思ってしまうほどに不安が二人を足止めしていた。


しばらくしてロナが目を丸くして森のほうを指さして


「アルス、見て。森の中から誰かがこちらに向かって来てるよ。」と、


声をひそめながらつぶやいた。


アルス「本当だ、手の先に何か赤黒いものが・・・」


アルスは途中でハッと気づいた。


少女ぐらいの姿かたちをした人影、指先の赤黒い炎のようなものが灯っていることに。


今まで感じていた不安など忘れて町のほうに戻ろうと振り返った瞬間。


謎の少女「ま・・待って・・・ど・・・どう・・・・か・・行かないで・・・」


森から出てきた少女がやっとの思いでつぶやいた言葉だった。


森から出てきた少女の言葉を聞いたアルスはまた、森のほうに振り返った。


しかし、すでに少女は倒れてしまっていた。


ロナ「アルス、どうしたの?早く戻りましょうよ。」


不安げな顔をアルスのほうに向けながら言った。


アルス「ロナ、先に帰って町の大人たちを呼んできてよ。ぼくはこの少女を見張ってるから。」


真剣な顔でロナに頼んだ。


ロナ「でも、その子を町に連れ帰ってどうするのよ。私、その子から嫌な予感がするわ。」


アルス「決まってるじゃないか、まずはこの子を手当てしなきゃ。だって、こんなにボロボロになってるんだよ。そんな人を見殺しになんてことできないし、それに今はただの人間の少女だろ。」と、


まっすぐな目でロナの目を見ながら真面目に言った。


ロナは「わかった。すぐに大人たちを連れて戻ってくるから無茶しないでね。」とだけ言い残して走っていった。


アルスはロナを見送ってからしばらく意識を失っている謎の少女のそばで見張りをしていた。


「汝、ソノ呪ワレタ運命カラハ逃レラレヌ何故ナラソナタハ、ハースン・ルティーンノ精神ト”呪ワレタチカラ”ヲ受け継イデイルノダカラ・・・。」


アルスは「誰だ!」と、頭の中に直接話しかけてきて姿を現さない者に対して叫んだ。


しかし、アルスの問いに対しての返答は返って来なかった。


そして、アルスも倒れてしまった。


続く


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ