イヌが喋った
犬
「わんわん」
僕
「あ、犬だ、可愛い」
犬
「分かりますよ」
僕
「うわ、喋った。びっくり」
犬
「犬って可愛いですよねー」
僕
「え、あ、うん。そうだね」
犬
「自分で言っちゃうのも何ですけど、顔とか凛々しいですしね」
僕
「うん、そうね」
犬
「あと、このキュートな佇まい……ほら、見てください。この首を傾げた感じとか」
僕
「まあまあ、いい感じじゃない?」
犬
「……え、ちょっと反応薄くないですか?」
僕
「いや、僕、犬ってあんまり好きじゃないんだよね」
犬
「わっつはっぷん!(どういうことです?)」
僕
「なんかうるさいし」
犬
「あいむしょっく!(なんてこったい)」
僕
「あと、なんか人間に媚びてる感じが、僕に似てて嫌だな」
犬
「What kind of childhood do you spend?(一体、どんな幼少期をお過ごしになられたのですか?)」
僕
「僕もよく友人から”お前は会社の犬だな”って言われます」
犬
「ゆうあぁそーりー(お大事に)」
僕
「まあ、そういうわけだから、僕はそろそろ会社に行きます」
犬
「この犬め!」
僕
「お互い様だね、それじゃ!」
少年は去っていった。
犬は、次生まれ変わったら猫になりたいと思った。
イヌが喋った -終-