第14回 「個性」
一通りの挨拶を終え、その夜は僕たちの歓迎を兼ねて皆で食事をすることにした。場所は僕たちの部屋を使ったが、広いリビングだったので収容人数は全く問題にならなかった。そしてもはや驚くまでもないがこの世界にも料理の宅配サービスがあり、テレビのモニターを使って注文するシステムのようだ。
帝国内では電子マネーが主流らしく、現金はあまり普及していない。預金はさすがに民間銀行が受け持っているそうだが電子マネーに関しては国営事業で、帝国の行政は国民にとって至れり尽くせりのサービスを提供しているようだ。
食事会にはもちろんオリガも参加した。初めのうちこそ怖がっていた彼女も次第に話すようになり、特にヴィンデとクレアに対しては二人の温和な雰囲気もあってよく懐くようになった。アシュレイとマリアは相変わらず朝露に降り注ぐ木漏れ日のような美しさで満天の星空さえ霞ませていたが、どちらかといえばマリアのほうが奥ゆかしくどこか陰があり僕としては好みのタイプだった。
「ところで魔法課には六人が所属していると聞いたのだけど、あとの二人はどんな人なんだい。」
僕は彼女たちに尋ねてみた。やはりこれから同僚となる人物には興味があり、少しでも知っておきたいと思ったのだ。
「彼女たちも双子よ。本来なら私たちは全員、この宿舎に住まなければならないのだけれど。」
マリアが愛くるしさに身悶えるような甘い声で言った。するとアシュレイも間を置かず言葉を被せるように話し始めた。
「彼女たちは本部に我儘を言って実家で暮らしているわ。二人ともこちらに住めばいいのに。」
理由を尋ねると、アシュレイは僕をまっすぐ見据えてこう答えた。
「だって世話焼き女房が二人もいるのよ。便利ではないかしら。」
全く悪びれもなくそう言うので思わず笑ってしまったが、ひょっとするとそういったデリカシーを欠く物言いが彼女なりの愛情表現なのかも知れない。もしそうだとすると「ちょっと可愛いな。」と思った。間を置かずヴィンデとクレアが「私はそうは思わない」と口を揃えて反論すると、クレアがすかさず僕に対して「親切でとても良い子たちだわ。」とアシュレイの発言に訂正を加えた。
「それにしてもヴィンデとクレアはそっくりだな。」
僕は言った。初対面からしばらく時間が経ったが、会話を切り出すタイミングや相槌を打つタイミング、発言の度になぜか口元に手を当てる仕草など、外見だけでなく一挙一動までほぼ同じなのである。もう一方の姉妹も確かに似ているが、彼女たちほどではない。
「違うわ、全然違うわ。」
ヴィンデとクレアは息を揃えて否定した。




