もちろん俺らは抵抗するで
「もちろん俺らは抵抗するで?」
刹那、男を取り巻く空気が一変する。絡みつくような濃く重い空気を纏い…両手を突き合わせる
パチーー
微かな破裂音と同時に、男は少年のすぐ目の前に立ち塞がっていた。
轟々と燃える右手を天高く振り上げ、男は戦の幕を開けた。
「――拳で」
少年たちは、男の気迫にただ呆然と立ち尽くし、引き攣った笑みを浮かべることしか出来なかった。
(クソッ、なんだこいつイカれてやがる!)
少年Aは、その重い空気に耐えきれず、できる限りの低い声で抵抗を試みる。
「君たち、何年生?」
返ってきた答えは、唖然という言葉では言いきれないほどのものだった。
「21歳!」
再び拳を突き合わせながら、男が放った短い一言は、凄まじい破壊力を持って、少年たちに牙を向く。
突き合わせた拳から火花が散ったかと思った瞬間…言葉の破壊力でその場にいた全員が、心身ともに絶対零度により、氷漬けにされたのだ。
録画していたはずのスマホまでが、その破壊力に抵抗するすべを持たずに、粉々に砕け落ちる。
「カッコイイ!」
最後に、少年たちの誰かが放ったその言葉は、心からのものだったのであろう。
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後にこの男は、伝説の拳闘士としての名を世界に轟かすこととなるのだが…………
――その後の男の行方は誰も知らない。