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皿屋敷
ここは麹町の番町、「青山鉄山」なる旗本の屋敷。
『一枚…二枚…』
その屋敷の井戸の中から、女の声が聞こえてきます。
声の主は、お菊という名の女中の幽霊。割ってしまったお皿を数え、一枚足りず嘆き悲しむ、憐れな霊です。
そんなお菊の噂を聞きつけ、一人の僧がやって来ました。
『六枚…七枚…』
お菊の数えは大きくなり、終盤に差し掛かります。お菊が『九枚…』と言った次の瞬間、
「八枚!!」
僧は井戸に向かって叫びました。
『七枚…六枚…って、減っていってるだろうがっ!!』
僧はそのツッコミに、大層満足そうな笑みを浮かべたそうな。
めでたしめでたしノシ