メリーさん
『動くな』
非通知設定でかかってきた電話にでた俺を出迎えてくれたのは、どう考えても義務教育半ばな子供の声だった。
間違い電話だろうか?怪訝に思っていると、背中になにか固いものが押し付けられた。
『いま、私は貴様の後ろにいる。そして背中に当たっているのは銃だ』
「…はい?」
ふいに受話器と背中越しから聞こえる少女の声。さっきまで、確実に存在しなかった少女が後ろにいた。
『わかったら10数える間に両手をあげろ。1、2…』
「はいぃ!」
俺はマッハの速度で両手をあげた。携帯を、閉じてしまう音が聞こえる。
「…よし、私はメリー。今キサマの後ろにいるぞ」
「知ってるよ!!てか玄関とかすっ飛ばしてるし!!」
「時間がもったいない」
「鬼かあんた!つかなんで銃!?即物的過ぎんだろ!」
「アマ〇ンで買った」
「密林仕事選べ!!」
「新品なのに3割引だった」
「そりゃお得だね!なに?もしかしてこれ試し撃ち?」
コクッ
「頷いてんじゃねぇええっ!!」
…ガラ
「ちょっとお兄ちゃんうっさい…ッ!?お、お兄ちゃんが少女を部屋に…誘拐!?」
「ちげーよ!銃口突きつけられてんじゃん!むしろ人質じゃん!!」
「む…見られたか…」
人間に見られると力を失う。そう言って、うちにはメリーさんが住み着いた―――
タイトルが【メリーさんの執事☆】で連載開始(嘘)。めでたしめでたしノシ