表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談を無理やり面白くしてみよう  作者: きつねそば
12/44

引き込む男

俺は大賀埼竜矢おおがさきりゅうや、今年の春からこの駅で働く新米駅員さんだぜ!今をときめくホープな俺は、退勤前のホームの掃除も欠かさないんだぜ!


「やぁ、大賀埼くん精が出るねぇ~」


にこやかに語り掛けてくれるこの人は、俺の上司の上条先輩だぜ!常に優しく微笑んでいて、褒めて伸ばすのがモットーの頼れる先輩なんだぜ!


「上条先輩!お疲れ様です!」


「はっはっは、大賀埼くんは身体が柔らかいんだねぇ。しかしそんな顔とすねがくっつくまで頭を下げなくてもいいんだよ?」


尊敬のあまり前屈レベルのお辞儀をしてしまったんだぜ!そんなおっちょこちょいな俺をいつも褒めてくれて、有り難いんだぜ!


【ドサッ】


ん?すぐ近くから何か音がしたんだぜ。見ると線路に人が落ちてるんだぜッ‼い、急いで助けるんだぜ‼


「待て‼大賀埼‼」


慌ててホームから降りようとした俺を、先輩が止めるんだぜ!強く肩をつかんで、すごい形相なんだぜ!……はっ!そうか!まずは緊急停止ボタンだぜ!


「いや、大賀埼くん、そうじゃない。あれは助けなくていいんだ。あれは生きている人間じゃないからね」


先輩が渋い表情で線路を見ながら言うんだぜ。俺も見ると、落ちた男はいつの間にか血まみれになっていて、恨めしそうな目でこちらを眺めていたんだぜ……


男はしばらく俺達を見つめた後、残念そうに肩を落とすと、ゆっくりと消えていったぜ……


その直後、特急列車が通過したんだぜ。





一つ隣のホームを。


「……ね?助ける必要なかったろう」

「ホントだぜ!さすが上条先輩だぜ!」

先輩は優しく微笑んだんだぜ。めでたしめでたし!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ