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夏の女王様の冒険

 その夜、再び季節廻る国にはお空の宝石が舞いました。他の国にはすでに春が訪れていますから、珍しいお空の宝石を見ようと、他の国から人がやってきました。


 秋の女王様がいなくなったことは、王様に大きな悲しみを与えました。悪い魔女は春の女王様と秋の女王様を攫い、何をしようというのでしょうか。


「私の娘、ゾーマ。一番年上のお前には、話しておかなければならないね」


 王様はそういって、暖炉のそばでゾーマ様に言いました。


「悪い魔女はいつも、この国を自分のものにしたくてたまらないんだよ。悪い魔女は季節をもって生まれたお前たちを、自分のものにするためにいつも城にやってきた。王妃は聡かったから、まじないを使ってお前たちを守っていた。でも、レンテとウィンテールが生まれたその年に、悪い魔女ののろいを受けて天国に行ってしまったのだよ」


 ゾーマ様は長い間知らなかった、天国の王妃様の、娘たちをおいていった理由を知りました。そして王様は、あの季節の塔は悪い魔女が娘たちを攫っていけないようにするために、立てたのだとも言いました。王妃様はとても娘たちを愛していたのです。


「王妃でも、冬ののろいははじけなかったのだな」


 ゾーマ様から話を聞いた王様は、自らの気の緩みで、冬の女王様を追い詰めていたことを悔やみました。そして春の女王様の誘拐も、悲しみました。


「私の娘、ゾーマよ」

「はい、王様。わかっております、私は夏の女王。季節を取り戻すため、レンテとエレストを救うために城を出ることをお許しくださいませ」


 夏の女王様は、秋の女王様とおそろいにしていた長い髪を肩にかかるくらいの長さまで切り、水色の美しいドレスを脱ぎ、誰にも分らないような、みすぼらしい物乞いの娘のような恰好をしました。そして夜、城の誰もが寝静まった頃に、そっと城を出ました。城を出る際には、事情を知っている年老いた門番が門を開けて待っていました。


「お早い御帰りを、お待ちしています」

「わかったわ」


 こうして、夏の女王ゾーマ様は、妹たちを救うためのたびに出たのでした。



お読みいただきありがとうございます。

次回更新は明日6日です。


※物語に矛盾が生じる可能性があるため、一部表現を追記しました。特に物語の大筋を変える変更ではありません。(12月8日)

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