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双子の女王様

 ところで、この国にはとある双子の姉妹がおられました。その御方たちはとても美しく、姉は涼しい水色のドレスを着られていました。妹は好きな橙色のドレスを着ておられました。姉の名を“ゾーマ”、妹の名を”ヘレスト“と言いました。


 双子は、同じお父様から生まれた“ウィンテール”と“レンテ”を救うため、立ち上がりました。


「どうしましょうお姉さま、レンテがいなくなったというのは本当だったのね」

「だからいつまでもお花が咲かないし、私の好きな湖のお水は凍ったままなのね」


 お触れが出されたころ、城のお部屋の中では2人の双子の女性がお茶会を開いておられました。おひとりは王様の娘、夏の女王ゾーマ様です。もうひとりも王様の娘、秋の女王ヘレスト様なのでした。彼女たちは夏と秋が重なる季節に、双子としてお生まれになりました。


 双子の2人はとてもとても、よく似ています。ドレスの色が違わなければ、兵隊も、父親である王様すら、彼女たちの名前を間違えるでしょう。輝く金色の髪は同じ長さで、その立ち方、歩き方、笑い方でさえ、彼女たちは瓜二つなのです。


 彼女たちは季節をもつ女王様として、早く冬を終わらせなければならないと思い、彼女たちが5歳の冬に、天国へ召された王妃様の部屋へやってきました。


 王妃様は、母親として、王様の妻として大変優秀な方でした。とても聡い王妃様は、自分の生んだ娘たちが季節を持っていることを知ると、塔を建てさせ、季節廻る国を、今のような素敵な国にしたのでした。塔を作ることを言い始めたのは母親の王妃様で、王妃様は娘たちに「何かが起こった時には、部屋に来るように」といつも言っておられました。


 王妃様が天国に召されてから、王様は王妃様の部屋にはやってきません。美しく、聡く、心の底から愛していた王妃様がいないことを知るだけで、王様の心は冬の湖の中に落ちてしまったように、冷たく、凍えるのでした。




 王妃様の部屋は、いつも城の召使がきれいに掃除していたので、夏と冬の女王様は部屋に入ったとき、まるでまだ、王妃様が生きているような気がしました。しかし、長い間使われていない寝床や、何も置かれていない机を見ると、やはりもうお母さまはいないのだと、お2人は涙を流しました。


「お母さま、どうして私たちのかわいい妹、レンテはいなくなってしまったの?」

「どうして私たちのかわいい妹、ウィンテールは塔を出られないの?」


 王妃様はいませんから、答える声はありません。

 王妃様の部屋には数え切れないほどの本がおかれていましたから、王妃様が答えられないことを知っている女王様たちは、その本を手に取りました。夏の女王ゾーマ様は、本の中から「冬ののろい」という言葉を見つけました。秋の女王ヘレスト様は、本の中から、「春を連れ去るあくま」という言葉を見つけました。



お読みいただきありがとうございます。お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、最終話まで毎日7時、19時更新となっております。

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