表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

偉大な双子の娘たち

双子の伝説は、本当にあった物語なのです。この国では、いつも双子はとても偉大なことをするのです。

でも、双子の伝説すべてが、幸せな結末を迎えるわけではありません。悲しい終わりを遂げた双子様の名は……


 この国では、双子はよい印です。それは双子がどちらも互いがどこにいて、どんな思いなのかがわかるほど心がつながっており、その二人が力を合わせることで、国の中でとても“偉大”なことが起きる、という伝説でした。お話の中に現れたのは双子の騎士様で、男の双子のお二人は、その剣で魔王を倒し、国に平和をもたらしたそうです。


 そのあとも、双子の伝説は続きます。


 その男の双子のお兄様は魔王を倒したすぐ後に病気になられ天に召されました。しかし弟様はその国のお姫様と結婚し、お姫様はまた双子の娘を二人、お生みになられたのです。




 ゾーマ様はその日の夕暮れ、双子の伝説について知りました。それは城に帰ってくる前に、呪術師様から言われていたことで、「双子の伝説は本当の出来事である」と聞いていたのです。


「双子の娘の名は――ゾーマと、エレスト……」


 偉大な双子の伝説は、男の双子と、その娘の双子にも続く長い物語でした。そしてもちろん、この双子の娘は夏の女王様と秋の女王様ではありません。しかし偉大な双子の娘は、両親が天に召された後、とても偉大な国を作り上げたそうです。妹様は女の王様に、お姉様が宰相となったそうです。


「しかし……」


しかしそのあと、妹様は国一番の騎士と結婚しましたが騎士は誰かに殺されてしまい、宰相のお姉様は行方知れずになってしまいました。妹様は姉と夫を同時に失い、悲しまれました。なのでこの偉大な双子の娘は悲話として今も伝えられているのです。


 本の最後を読み終わったとき、ゾーマ様はとても恐ろしくなりました。伝説の双子の娘は、偉大な国を作ったあと、姉であるゾーマが行方知れずとなり、妹エステルの夫は誰かに殺されたということ。この物語は聡明なゾーマ様に伝説に隠された事実を伝えていました。






「きっと、姉のゾーマは、わたくしと同じ名前を持つ伝説の双子の姉様は、妹様の夫を殺して、いなくなってしまわれたのだわ。きっと姉だったのに、王様になれなかったことを、悔やんでいるのだわ」


 ゾーマ様には、そのお姉様の気持ちがわかってしまうのでした。

 なぜならゾーマ様も、穏やかな季節をもって、いつも感謝される妹のエステル様を“少なからず”うらやましいと思っていたのですから。


 そして穏やかな春を持つレンテ様も、そして外は寒くても部屋の中で家族と仲良く過ごすことができる冬を持つウィンテール様も、ゾーマ様はみんなみんな、うらやましかったのです。



 夏だけは、働く時だからと家族は皆バラバラに働き、子どもたちは汗を流して遊び、夜遅くまで働いて疲れて眠る。夏まつりだって、準備が大変なことをゾーマ様は知っていましたし、雨がなかなか降らないと嘆く人々には、自らが悲しみの涙を流して雨を恵むことしかできなかったのです。



 ゾーマ様は自分が知ったことを、すぐに呪術師様への手紙に記しました。

 この双子の伝説が、自分たち姉妹に災難を与えているに違いないと思ったのでした。呪術師様はその手紙を見るなり、すぐにゾーマ様とお話をされました。呪術師様は残していたゾーマ様の美しい御髪を代償に、水鏡でゾーマ様と、月がさよならをされて太陽が顔を出す頃まで、お話をされていました。




2017年になりました、年明けの更新になってしまい申し訳ありません。

でも読んでくださっている方がいること、大変うれしく思います、いつもありがとうございます。

今週中には再度更新いたしますので、よろしくお願いします。

この1年が、皆様になって良い1年となりますよう、お祈り申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ