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季節廻る国

 これはこれは、季節廻る国のおはなし。それはそれは、とても素敵な国のおはなし。

 この国に住む人たちはみんな、幸せでした。幸せだと思っていました。


『あるところに、春・夏・秋・冬、それぞれの季節を司る女王様がおりました。

女王様たちは決められた期間、交替で塔に住むことになっています。

そうすることで、その国にその女王様の季節が訪れるのです。』


冬の童話祭2017公式ページ―季節廻る国の童話(http://marchen2017.hinaproject.com/teaser/ )より

 Once Upon A Time (むかしむかしあるところに)


 季節(きせつ)(めぐ)る国、セイズーンという名前のちいさな国がありました。

 その国はまわりの国々(くにぐに)とくらべてずいぶん小さいのです。にもかかわらず、春、夏、秋、冬――森や(みずうみ)、畑や空からのお(めぐ)みをたくさんいただける国でしたので、ほかの国はとてもうらやましがっていました。


 春は一面にお花が()き、夏は(すず)しい風が動物たちをこの国にまねきます。秋は夏の涼しい風にごきげんだった木が、たくさんの木の実を落とし、冬は雪がふってもあたたかく、秋の十分なたくわえのおかげで、家族とゆっくりお家ですごすのです。そしてまた、すてきな春が(めぐ)ってきます。


「今年なんて(わたし)たちはとっても生きていけないくらいしか、“おこめ”がとれなかったのに」

「どうしてかの国は、いつもいつも(めぐ)まれているのかしらね」


 おとなりの国はいつも、そうやって“悪態(あくたい)”をついていましたが、どの国も、この国に兵隊(へいたい)などをさしむけて、“占領(せんりょう)”しようとは思わないのでした。なぜなら、かの国の王様は大変心が広い御方(おかた)で、食べ物がなく、くらしていけないおとなりの国に、しばしば「(あま)ってしまうからもったいない」とおいしい実りをわけていたからです。


 すてきな季節の(めぐ)りに、かの国に住む人はいつも感謝(かんしゃ)していました。


 そしてその感謝(かんしゃ)はいつも、国の真ん中にある「季節(きせつ)(とう)」にむけられていました。季節の塔には、いつもいつも、それぞれの季節(きせつ)をお持ちの女王様たちが、その季節の間だけお住みになっているからです。その女王様たちがそれぞれの季節の間だけ、塔から出ずゆっくりお()ごしになるおかげで、かの国にはすてきな季節が(めぐ)ってきているのです。


 女王様たちはみな、たいへん美しい御方(おかた)でした。



 春の女王―レンテ様はお花が大好きな御方です。

 夏の女王―ゾーマ様はひんやりとした湖のお水が大好きな御方です。

 秋の女王―ヘレスト様は舞い落ちる黄色や橙色の葉っぱが大好きな御方です。

 冬の女王―ウィンテール様は冬の特別な日にしか見られない、お空の宝石(ほうせき)が大好きな御方です。



 お読みいただきありがとうございます。久しぶりに書きました、お話になりますので拙いところもありますがご容赦ください。少し長くなるかもしれませんが、お付き合いいただければと思います。毎年この季節はとても好きです。童話好きにはたまらない季節ですよね。


 ※2016年12月2日ルビ振り他編集あり。+追記:冬の女王様が大好きな冬の特別な日にしか見られないお空の宝石は、ダイアモンドダストを意味しています。なお、一般的に空の宝石と呼ばれているのはサファイアになります。

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