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持たざる万能魔導陣師  作者: 水戸 松平
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男女間抗争と魔導の目覚め 2

「おい、比呂。サラの姿が見当たら.....」


 姉の美里がノックもせずに比呂彦の部屋に入ってくる。


「これはどういうことだ。説明をしろ」


 美里はその禍々とした瞳を見開き、ベットの横で地べたに寝ていた比呂彦にヘッドロックを決める。ちなみに美里は胸に脂肪が少しだけある。

 申し訳程度の感触には既に何も感じなくなった比呂彦だが、決められた技による痛みは別物だ。


「イダイ、イダイ、イダイ!!」


「どうして、サラが、お前の、ベッドで、寝ているんだ」


 怒気の宿った言葉に恐怖を覚える。弁解もさせてくれない。当分の間、比呂彦の不遇は続くようだ。


「ちょっと....サラが起きちゃうから...静かに.....」


「.........そうだな。すまん」


 サラで起きた争いは、サラで鎮めると楽であると、比呂彦は学んだ。


「行ってくるねー!」


 比呂彦は元気良く挨拶をして学校へと向かった。姉の誤解はしっかりと解き、謝罪もしてもらった。暴力的なというより本能的な姉だが、こういう所はしっかりとしている。


 学校には論文は持っていかない事にした。昨日のような事を2度と起こさない為と、没収されるのを恐れたというのもあるが、家を出る前に自身の部屋に戻ってみるとサラが論文と共に消失していたからである。


 校門近くで宮ノ腰姉妹とその下の弟が一緒に歩いていたので、教室まで一緒に行く事にした。


「昨日は大丈夫でしたか?八陣くん」


「あーうん。なんか質問されて終わりだった。ここだけの話だけど、コリーナ先生もう一回生徒で実験したらクビなんだってさ。だからって先生が本気で怒ったらどうなるかわからないけど」


「触らぬ神に祟りなしです。八陣くんももう少し気を付けなさいよ」


 比呂彦は(たお)の忠告に耳を痛くし愛想笑いを浮かべるほかなかった。それを見た嫋は「ふん!」と言ってそっぽを向いてしまった。


 教室にたどり着き、扉を開けようとした瞬間、真由美が扉を開けて教室から出てきた。


「あ!....おはよう....」


 真由美は比呂彦に気付いた後、少し後ろめたいような挨拶し、不自然な動きの後硬直して教室に入るのを促してくる。


「おはよう!」


 比呂彦は昨日の事でちょっと変な関係になっちゃったかなと思って教室に戻ってきたら積極的に話そうと決心した。

 そして、その時はすぐにやってきたのだが、真由美は何故か机を運んでいる。それも自分の机だ。真由美は恥ずかしそうに下を向いて、なるべく音を立てないように机を持ち上げて運んでいる。周りはやけにシンとしている。


 その光景にいの一番に切れたのは沙耶だった。


「誰!?真由美の机を廊下に出した奴!誰よ!!」


 教室は更にシンとしている。


 比呂彦ははすぐさま真由美の元に駆け寄ったが


「お願い言わないで。これは...私の問題だから」


 真由美の憂いのある目で語られる言葉に怒りが湧いていき、阿蘇弥率いる女4人組を睨みつける。

 阿蘇弥の取り巻きの女の子達はそんな光景を気に留めてないようにヒソヒソと話している。


「絶対に僕が守るから!」


 真由美にだけ聞こえる声で力強く言い放ち、沙耶や昇も手伝って机と椅子を一緒に元の場所に戻した。


  ◯


 「以上で終礼を終わります。さようなら」


 いつものようにコリーナ女教師による言葉で放課後を迎え、皆が帰りの支度を始めている。

 コリーナ女教師にはまだこの事はばれていないようだ。なぜなら比呂彦達が真由美の意思を尊重したという事もあるが、この事がコリーナ女教師の耳に入れば、確実にブチ切れて死者が出るだろうと予見したからだ。冗談ではなく。阿蘇弥達が死ぬのはどういう事もないのだが、それによってコリーナ女教師がクビになるのは絶対に避けたい所である。

 

「比呂彦、ちょっと来い」


 昇がいつにない真剣な顔つきで比呂彦を呼ぶ。


「お前は近くで真由美を守れ。俺達は周りからアシストしてやる。いじめの基本は所有物の破棄だ。あの後、真由美の物を保護してあるから、今から靴を真由美に気付かれないように元の場所に戻してくるからちょっとゆっくり目で来い。真由美には感づかれんなよ」

「じゃあな!」


 昇は急いで荷物を急いでまとめた後、教室を出て行った。こういう時はとても頼もしい。

 比呂彦は出来るだけ自然を装って真由美に話しかけた。真由美の周りにはすでに沙耶や蛇抜姉妹がついており安心は出来るが、阿蘇弥側ではない女子に任せると飛び火する可能性があるので少し強引目に割入った。


「真由美ちゃん、一緒に帰らない?」


 「ヒューヒュー♪」と安直な冷やかしが飛んでくる。もちろん無視して少し強引に教室を出る。蛇抜姉妹は先に帰ってしまった。蛇抜姉妹はいつもはふざけているが意外と察しが良い。今回、蛇抜姉妹には何の打ち合わせもしていないのだが、いつも以上に構ったり真由美を笑わせたりしている。


 真由美の机には、一戸 浩輔(いちのへ こうすけ)栗原 一芽(くりはら いちめ)保土ヶ谷 竜也(ほどがや りゅうや)の3人が真由美が教室から出た後に、真由美の机を中心として談笑する予定になっている。これは有志で集まってもらい、日ごとに入れ変わる予定だ。


 真由美は皆に優しい性格もあり、一組の男子のほとんどが味方についてくれた。阿蘇弥を嫌っているということも強い。女子は内在するカーストにより、真由美と親しい場合も下位カーストの女子は強制的に阿蘇弥側か中立となっている。無意識的上位カーストの沙耶や、そんな物お構い無しな蛇抜姉妹は良いとして、宮ノ腰姉妹は妹の嫋が姉の雅に被害が行くこと異常に恐れて中立的立場を取っている。


 このように、コリーナ女教師の目の届かない水面下で飛呂彦・沙耶・昇が主導の間々真由美防衛隊と阿蘇弥率いるクラス(3クラス)の一部を除く全ての女子との戦いが始まった。


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