死化粧殺人事件 4
留置所
遺体はかなり無惨な姿で転がっていた。全身を刃物で傷つけられた跡があり、部屋中に血がべったりとくっついている。
部屋にいるのは、ミハヤ、リクト、その他大勢。今、鑑識が遺体を調べている。
「あの…」
「なんだミハヤか…なんだ?」
「ササヤマはどうしました…一緒じゃないんですか?」
ミハヤが話しかけたのはササヤマと一緒にいた上司だ。彼がササヤマと一緒にいないのは珍しい
「……あいつは別件だよ。」
「別件?」
「なんでも、あの病院で人が殺されたらしい。」
「あそこでも!?」
立て続けに2件も人が殺された…
「無残な姿で…食わたような跡があったらしい。」
「なんで…こんな時に」
「こんな時だからじゃないかな?」
二人が振り返る
「リクト刑事!」
「あの病院は、今回の事件と繋がっていることは明らかだ。院長は知らないと言っているけどね…そして今回の殺しは、二人とも知らなくて良いことを何か知ってしまったんじゃないだろうか?だから偶然にも殺されてしまった。ミハヤ。これが何を表すか……わかる?」
「……?」
「お前はてんで刑事に向いてないな。ミハヤ。つまり、リクトが言いたいことはだな…犯人は複数いる。
そしてその1人は、留置所での犯行を実行出来た。つまり…身内に犯人がいるって言いたいんだろ?」
その言葉を聞いて唖然とする。身内に…警察署の人間に犯人がいるだって?
「流石です。そういえば最初の3人の女の子の殺しは…ナイフで皮を剥がされてた。今回もナイフだ……そういえばいたな……ナイフで自衛を推奨している女刑事が」
ナイフを推奨している刑事は1人しか知らない。俺はそれで昨日生き延びたから
「クルス……刑事?」
「クルスには気をつけた方が良いよ?ミハヤ。次は君の喉元にナイフが突き刺さっているかもね…」
「クルス刑事は…そんな人じゃ」
「おいミハヤ。感情的になるな…事件ってのは、いや社会ってのは、感情だけじゃ動かないんだ…」
ミハヤはクルスを疑いたくなかった……しかし、あの人はかなり異質で何を考えてるのか分からない。本当に喉元を切られてしまうかもしれない。
旧病棟
入り口付近
ササヤマは遺体確認をしていた。
「……さんはこの方で間違いないでしょうか」
担架に仰向けに乗せられた遺体の顔には、布が被せられており、布を剥ぐと顔の判別がつかないくらい食い散らかされていた……でも俺は覚えている。この半分になってしまった唇や片目。全て彼女の物だ…
「はい……この人です…」
「ササヤマ…」
同僚が励ましを入れる。俺とよく勉強会をしていた友人だ。
「彼女……胸がデカくてさ………気に入っていたんだ…ハハ…笑えるだろ…でも今はさ……それも…食いちぎられてッ!」
後悔だけが残る。ミハヤを少しでも出し抜こうとして、彼女を巻き込んでしまった。
「クソッ!クソッ……!」
終わらせなければ…こんな事件は……あの犯人を……殺してやる
ナイフを取り出そうとする動作を何度もしてしまう…これもクルス刑事から教わったことだ…ヤバいことがあったらすぐに取り出せるようにナイフに触れ。
警察学校では…こんな事教わらなかった…というか、何も考えなかった……刑事になってからは何もかもが映画の出来事だ。
「あの…クルス刑事?」
「あぁ…来たの?あぁ、そのままでいい。」
クルス(29)…3年前から、この課のリーダーになった女…何故この年でリーダーになったかは分からないが
もしかして、本当にスパイなのかもしれない……
「……チハルちゃんの家が分かった」
「!本当ですか」
「えぇ。この住所の住人でチハルという女の子が1カ月前に行方不明になっているの。」
「一ヶ月だって!?」
あの女の子は、一ヶ月も監禁されてあんなに元気なのか?
「私は別件があるから、とりあえずあそこには母親がいるから、送って」
「分かりました。」
ミハヤがクルスのもとを去ろうとするとクルスが呼びとめる
「ミハヤ」
「はい!」
「チハルちゃんって子……魚の料理店っていったのよね…」
「えぇ…そうです……あの、別件とは?」
「…………秘密」
ミハヤ 車内
「ねぇ、お兄ちゃん。音楽かけていい?」
「お兄ちゃんって…まぁ、良いが。」
ラジオをつけても今回の事件のことばかり出てくるので、ユーリが勝手にダウンロードしたアイドルの楽曲をかける。これを聴くだけで胃がムカムカしてくるからあんまりかけたくない…。
今回の事件はあまりの残虐性から、世間でかなりの注目を浴びている。ユーリは今連れてきていないが、この事件を解決すれば…俺も…
「ちゃん…お兄ちゃんてば!」
「はい!」
「もー聞いてるの?」
「え?いや、すまん聞いてなかった。なんだっけ?」
「だーかーらー、僕が昨日誘拐されたのはなんでだって!」
「あぁ…そのことか。す…すまんな。言えないんだハハハ………」
「え、なんで?」
「俺の職業上………今なんて言った?」
「え?だから言えないのなんでって?」
「その前だ…」
「昨日なんで誘拐されたのって?」
驚きのあまり、車を急停止させる。
チハルは驚いて、顔が硬直した可愛らしい姿を見せる。
「昨日!?君が居なくなったのは一ヶ月も前だぜ?」
「…え?そんなのおかしいよ。私は昨日、下校中に捕まっちゃって」
「下校中の日付は覚えてるか?できればその年も」
「えーと、2026年9月4日。僕の誕生日の日だね。」
「今日は…10月10日だ。」
「……は?」
「くっそ…どうなってんだ…次から次へと…」
「……………」
かなりの沈黙が起きて気まずくなる
「……………あぁ…今歌ってる人知ってるぞ。たしか…「AAA」だったよな」
「もう解散した」
「あぁ……そうか。」
それから10分がすぎ、一般の住宅地に入る。チハルはかなり品のある、可愛らしい顔をしていたためそれなりのお嬢さんだと思っていた。
住所の元に着くと、母親と父親らしき人物が家の前にたっている。
「お姉ちゃん髪色変えたんだね!別人みたい。」
「フフフ…似合うだろ?この白も」
「おい、ユーリ。もう着いたぞ……ユーリ!?」
なんでこんな所にいるんだ?置いてきたはずなのに…
「お前…どうやって…」
「荷物入れる所に隠れてた。」
「ホラー映画かよ…もういい!俺が先に出ていくから邪魔するなよ」
車から出た時、チハルも一緒に出てしまう。
まぁ、仕方ないか。
「チハル!チハルは何処!」
母親がミハヤに詰め寄る。
「あぁ…、チハルちゃんのお母さん?」
「えぇ!」
「一ヶ月前にいなくなった?」
「そう!そうよ!早くチハルを!」
「慌てないでください。そこにいるでしょ?」
そう言って、チハルの方を見る。感動の再会だ。
「ママ!」
「…………貴方だれ?」
え?
「何言ってるんですか!チハルちゃんですよ!」
「違う!この子はチハルじゃない!」
「そうだ!誰なんだこの子は…」
父親さえも…そう言うのか?
「そうだよ!ママ僕だよ…」
「ちょっと貴方!私の娘はこの顔よ!似てないでしょ。」
かなり怒った形相で詰め寄られる。スマホの中の人物は黒髪は合っているがチハルと全く違う。髪を結んだ人物だった。
「チハル!君の顔はこれか!?」
「そうよ!何を言ってるの?そんなのみれば分かるじゃん。」
スマホを消し、鏡代わりにしてチハルに見せる
「え……何これ?違う…私の顔じゃない!どうなってるの!!僕は!!ママ!僕……!」
「近づかないで!貴方は私の娘じゃない!!」
「………あぁ……」
「どういうことだ!君等警察は…違う子供を連れてくるのか!」
「え……あ……」
何も答える事が出来ない……今、俺の頭の中は疑問のみで埋め尽くされている。他は受け付けない。処理…しきれない……
「聞いているんだ!お前ら…」
「ハヤ!チハルを早く車に乗せて!!」
「…ユーリ」
「早く!」
「…あぁ!」
チハルの腕を引っ張り、無理矢理車に押し込みその場を後にする。アクセルを踏み込むタイミングで怒りに満ちた父親の目とどこか疑いを持った母親の目があった。
駐車場
銃を持った人間が日本にいる。そんな状況は余程の事件か映画くらいだろう
しかし、ここにいる武装した機動隊員は連日客で賑わう魚料理店を包囲していた。
その中にスーツ姿の女性が1人。拳銃を持って立ち尽くし、部下に指示をだしている。
その最中に、警察車両が占拠している駐車場からパトカーが1台現れた。その中から男が1人出てくる。彼はたしか…ササヤマと一緒にいた。テラサカとか言ったけ?
「おい!クルス!」
テラサカのうるさい声が全体に響き渡る。
面倒くさいなと思いながらクルスは質問をする
「何?」
「お前、演習中の特殊部隊をかき集めて何をするつもりだ!責任は誰が取るんだ!」
「………じゃあ、後は予定通りに。1時間たったら突入して。」
「わっ…分かりました!」
「クルス!人の話を…」
「責任は私がとる。ついてきて。」
「おい…」
テラサカの事を気にせずクルスは店の中に入っていく。中の様子はいつもと全く変わらず入り口まで客が並んでいる。
避難誘導すらされていないようすにテラサカは唖然としたあと、受け付けの青年の前に立つクルスを見る。
「すいませんお客さん。ちゃんとならんで……っ!」
「クルス!何やってる…!」
銃を向けられて怯えるようすとはこんな感じなんだな。と思いつつ、クルスの奇行に驚く。これじゃあ、どっちが警察か分からない
「どいて」
ヒィ!なんて間抜けな声を出して受付の青年はどく。
多分一生の不幸自慢だろう。
その後の行動は説明している自分も馬鹿馬鹿しいことだった。
クルスがその辺にある椅子を掴んで受付が立っていたレジの床に叩きつけた。
クルスは何を考えてるか分からんやつだが、流石のこの行動は怒りを通り越し呆れが来てしまう。
「おい…クルス…ここになにしに…」
「ここ。この床下に用があったの。」
目線を変えると、クルスがこじ開けた穴から地下へ繋がる階段がある。
「貴方達はここで待っていて。1時間たったら入ってきて。」
「なんなんだ?その下は…」
テラサカが質問をすると今まで見たことないくらいの笑顔で…
「けじめをつけてくる。」
「うっ……うぅ……」
車の中の空気は最悪だった。
白ユーリは俺の座席をガツンガツンと足で蹴り、その隣でチハルが泣いている。流石に何も言葉が出てこない。
「ハヤさぁ、何年生きてんの?22歳でしょ。22年間も生きてなーんーでただ子供を車に乗せる反射神経がないわけ?ねぇ、なーんーでーかーなー!」
罵倒しながら座席を蹴るスピードとテンポが早くなる。
「………っ」
ユーリ…見てろよ……ある程度出世したらてめぇなんて実家に送り返してやる…
「まぁ、いいや。とりあえず捜査資料出して」
「は?」
「いやだから、この子が何者なのか手掛かりを探さないと」
「あぁ……ほら」
「……………」
車内の空気がこいつのせいでさらに地獄と化す。
「…ハヤ…」
「ん?」
「そういえばこの被害者達…身元は分かったの?」
「そいつについてはまだだ…でも、9から10歳くらいの女の子と書いてある」
「………」
「どうかしたか?」
「いや……もしかしたらさ……」
「もしかしたら?」
その答えを聞くことはできなかった…なぜなら…
「あれ?私なんでここにいんの…ってチハル!なんで泣いてんの!?」
「………」
黒のほうになってしまったからである。
退屈だと感じたのは、何回目だろうか…待っていろとクルスに言われ、テラサカはレストランの外で特殊部隊の男達と待つ。その光景は赤の他人からみるとかなりシュールなものだろう。
しかし、この特殊部隊の男は仕事だから当たり前だが全くと言っていいほど喋らない。
なにか一言かけたほうがいいんじゃないか?と錯覚させるほどだ。
「なぁ…」
返事がないが、話を続ける
「クル…あの女上司は、俺達に何をさせるつもりなんだ?知ってるか…」
「………」
そりゃ返事なんか返ってくるわけないよなと思ったが男がその重い口を開けた
「職業上…答えることは出来ない」
「だろうな…」
そうこうしてる内に腕時計をみると1時間経っていた。
重装備の男達が次々と中に入っていく。
退屈で気まずい時間がようやく終わる
「さて…そろそろ行くか。」
地下は、店内と比べてかなり暗かった。ただ暗いというだけではなくなにか出るのでは?と思わせるほどの不気味さを持っている。
ビチャッとした音が足元から聞こえる。
なんだ…水が溜まっているのか?と下をライトで照らす。その液体は赤く光っていた…
(血?)
ここで何があった?そもそもここはなんだ?
ビチャッという音が前から響く。
とっさに拳銃を構えてしまえそうなほど驚いてしまった。
「クルス…?」
ライトを向けると血を纏ったクルスが立ち尽くしている。
「あら?だれかと思ったらテラサカじゃない。あいつらと見間違えて、撃ち殺すとこだった。」
「あぁ…俺も幽霊と間違えて撃ち殺す所だったよ。」
ここから皮肉が出せる大人になりたいとガキのころ思っていたが、念願はかなったらしい。
「ミハヤに連絡して。いろいろ分かったって」
「つれないなークルス。僕も呼んでくれよ。」
後ろから声が聞こえ、振り向くとリードを持ったリクトの姿があった。
探偵と言うのは、私の身の丈に合わない仕事だとつくづく思う。
犯人だと当てられた時の彼らの顔は、私の目に深く残る。
被害者の無念を晴らしたとしても、彼らの顔に喜びは無い。
私は、本当に必要な人間なのかと思う時すらある……
駐車場
ミハヤ達はクルスの呼び出しに応じ、魚料理店に来ていた。こんな所になんの呼び出しだろう…
「いいか、お前らガキ二人はここで待ってろよ」
「そもそも、私なんでこんな所にいんの?」
「………お前がついてきた」
「私そんな…」
「行ってくる!」
これ以上説明しても無駄だ。
店内には、客がいた形跡だけが残されていた。
外には、誰もいない。
「ミハヤ。」
「ク…クルス刑事、その血は」
「私のじゃないから大丈夫よ。それより、地下に入って。色々教えるから。」
飲食店に地下とは、聞かない話だ。
地下の入り口は、恐ろしいほど暗い。
あまり中に入るのは乗り気じゃないが、上司についていく。
中は異臭が酷い…血の匂いと、腐敗した肉の匂いが混ざったものだ。
「チハルちゃんはどうだった?」
その質問は今のミハヤに聞いてほしくない話題だ。
さっきのことをどう説明すればいいのか…
「それが……その…は…母親がこの子はチハルじゃないと……」
「でしょうね。」
「でしょうねって…」
クルス刑事は、このことを知っていたのか?
「3人の遺体の身元が分かった。」
「えっ?」
つい間抜けな声を出してしまった。
「2人は10歳の女の子。2週間前に行方不明になって、捜索が行われていた。」
「あと1人は?」
「その2人については正直重要じゃない。肝心なのは、貴方が言ったもう1人」
「それは…誰です?」
「この子よ。」
クルスが写真を見せてくる。黒髪で、髪を結んだ明るい女の子だ。しかし、俺はこんな子知らない……
「その子の名前は成夜千晴…貴方がチハルを連れてった家の娘よ。」
「………は?」
何を言ってるんだ…この人は…チハルは、白髪の……
「さっき、貴方が行った家の人に写真を見せて見たの。そしたら、当たった。あの家の人の苗字は、成夜だから。遺体はもう返してある。」
しかし、チハルはさっきまで俺達と一緒に……じゃあ
…
「あいつは……誰なんですか?」
なんでもない暗い廊下が自分を恐怖で包んでいく。
さっき、車に乗っていたチハルはなんだ?
千晴は死んでいる?
「さっき、千晴ちゃんの母親から、連絡でこんな言葉を聞いたわ。見た目は、まったく違うが、その仕草は千晴だったって……」
中身は…一緒だったってことか?ますます意味がわからん…
「ついてきて。」
クルスが向かった先は、何かの資料室だった。
かなりの量の難しそうな資料が置かれている。
「ここが何か聞かないの?血でいっぱいなのに…」
「血って…うわっ!なんだこれ!」
靴の裏が血で濡れている。さっきの異臭のする病院で、感覚が麻痺していた。
「ここはね、遺体を運んでいた車の目的地なの。」
「…!?」
「私が入った時には、無数の遺体があった…ほとんどが少年少女……生き残りは、医療関係者数人と…客人。もちろんご飯を食べにきた人じゃなくて…別の物。」
まさか…
「少年…少女?」
「冴えてきたじゃない。これで貴方も捻くれ者の仲間ね。多分あの病院で実験をして、使えなくなったらここで客人にヤらせてたんでしょ。上で食事してた奴は、気の毒だ。」
ますますわからなくなってきた。質問…何か質問を捻りだせ!
「あの病院で……なんの実験が行われていたんですか?」
クルス刑事の口が今まで以上に重く感じる……一言目がスローモーションのように動く。
「の……」
プルルルッ!!
ミハヤのスマホから、着信音がなる。
突然の大きな音にクルス刑事でさえもビビってしまったようだ。
電話に出ろと合図を受け、ミハヤが電話に出る…
「はい…」
「やぁ、ミハヤ。調子はどう?さてはその様子またクルスに無茶言われたな?」
「リクト刑事!」
「貴方何処にいるの!さっきから姿を見せないと思ったら!」
「いやーそれにしてもさ。君の警察車両。僕らと同じ車なのに乗り心地いいね…」
………は?
「ミ………ハ……ヤ……」
「ユーリ!」
「あぁ…そっか!可愛らしい女の子が隣にいるからか!」
「リクト刑事!何してるんです!!」
「いやー、手頃な人質がいなくてさ…君の恋人利用するよ!」
「なにいって…」
「まだ分からない?あぁ…まだ資料みてないの?クルスに見せてもらいなよ」
クルス刑事が急いである資料を見せる。
「この部屋にあったのを全員に見せようと思ってたの…」
そこにあったのは、誰が移送し、どう殺すかというリストだった…そこにあったのは、今回の事件があった日。あの3人を移送を行う者に今日殺された女性が…殺す者に…リクト刑事の顔写真と名前があった。
「いやさぁ、そもそもここが勘付かれた時点で逃げなきゃいけなかったから、ここに潜入してたのに、クルスが、いきなり突入しちゃうからびっくりしたよ!…なんで知ってたの?」
「本当に、貴方なんですか?」
「ん?そうだよ。」
「なんで!」
「人質を開放して欲しかったら、君が逃走資金を持ってBビルまでこい。持ってこなかったら人質を殺す」
電話はそこで切れた。あまりに突然すぎる状況に…困惑で声もでない。
足元の血は…ユーリの血を連想させた




