訳あり客しか来ない古書店
最終エピソード掲載日:2025/12/26
路地裏にある、小さな古書店。
看板は古く、営業日も不定で、常連と呼べる客はいない。
それでも、この店にはなぜか「訳あり」の客ばかりが訪れる。
離婚を決めた帰りに本を抱えてくる人。
もう会えない相手の蔵書を処分しに来る人。
人生の整理がつかないまま、紙袋を下げて立ち尽くす人。
店主は、客の事情を深く聞かない。
慰めもしなければ、助言もしない。
ただ、本の状態を確かめ、静かに値段を告げるだけだ。
けれど、本には、前の持ち主の時間が、ほんのわずかに染みついている。
それは声になるほどはっきりせず、説明できるほどの不思議でもない。
それでも、確かに「残っている」。
本を売るという行為は、何かを終わらせることなのか。
それとも、別の形で残すことなのか。
この古書店では、人生は救われない。
大きな奇跡も起きない。
ただ、誰かが少しだけ決断をして、店を出ていくだけだ。
それでも、今日も店は開いている。
訳あり客を迎えるために。
看板は古く、営業日も不定で、常連と呼べる客はいない。
それでも、この店にはなぜか「訳あり」の客ばかりが訪れる。
離婚を決めた帰りに本を抱えてくる人。
もう会えない相手の蔵書を処分しに来る人。
人生の整理がつかないまま、紙袋を下げて立ち尽くす人。
店主は、客の事情を深く聞かない。
慰めもしなければ、助言もしない。
ただ、本の状態を確かめ、静かに値段を告げるだけだ。
けれど、本には、前の持ち主の時間が、ほんのわずかに染みついている。
それは声になるほどはっきりせず、説明できるほどの不思議でもない。
それでも、確かに「残っている」。
本を売るという行為は、何かを終わらせることなのか。
それとも、別の形で残すことなのか。
この古書店では、人生は救われない。
大きな奇跡も起きない。
ただ、誰かが少しだけ決断をして、店を出ていくだけだ。
それでも、今日も店は開いている。
訳あり客を迎えるために。
第1話「手放す=終わらせる?」
2025/12/26 13:59
第2話「直す/残す」— 形見の蔵書整理
2025/12/26 14:04
第3話「やり直しの気配」— 元恋人の蔵書
2025/12/26 14:08
第4話「言葉にできないお願い」— 子どもの本と母親
2025/12/26 14:12
第5話「借りを作らない」— 代行業者と“引き取りの倫理”
2025/12/26 14:15
第6話「約束の回収」— 返しそびれた貸本
2025/12/26 14:19
第7話「買う理由」— 売るはずの客が“買って帰る”
2025/12/26 14:40
第8話「聞かない代償」— 店主の過去を知る人物
2025/12/26 14:45
第9話「渡す相手」— 手作りカバーの本が“戻る”
2025/12/26 15:16
第10話「欠けた日付」— 仕入れ帳の空白が“誰かの手”で開かれる
2025/12/26 15:21
第11話「鍵と布装丁」— 背に題名のない本を“開ける”
2025/12/26 15:30
第12話「終わらせ方」— 返す/返せない/それでも店は開く(最終話)
2025/12/26 15:36