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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 航路 】
6/38

第6話.

 

 視界が移り変わり、目の前に森が広がる。


 驚きの声を上げると同時に、僕はドサッと尻もちを着いた。


「 イテテ… 」


 腰をさすりながらその場に立ち上がる。


 幾つもの樹木が立ち並び、それを囲うように霧が入り乱れる。


 “ここが霧の森”―――一目見ただけでもそう感じさせられるような、そんな森がそこにあった。


「 別名“迷いの森”。それもただ迷子になる訳じゃない。ここで迷う(見失う)のは“自分”だ。 」


「 ?、うん。見るからに霧が濃いもんね 」


 たこきれの声の方を振り向きながら返事を返す。


 が、そこには誰もいなかった。


「 …あれ?誰もいない…?? 」


 たこきれだけでなく、他のタコスたちの姿も見当たらない。


 キョロキョロと辺りを見渡してから、小さな溜息を零した。


「 迷子になっちゃったかも 」






**********



「 はぁぁあ??? ブラボーがいない?? 」


「 近くを探してみたけどいなかった 」


「 ボクと一緒にゲートに入ったから、ここに来てはいるはずなんだけど… 」


 ブラボーの姿だけが見えず、混乱が湧き起こる。


 そんな中、たこきれが如何にもウンザリしてますといった顔つきで口を開いた。


「 あいつ、迷子になったのか? 」


「 、あるかも 」


「 んじゃ、手がかり探しの前にブラボー探さなきゃだな! 」


「 !! オイラが見つける! 」


「 いや、見つけるのはボクだねっ 」


「 あ? そんなんどっちでもいいだろ…って、はぁ?? ちょ、勝手にどっか行くんじゃねぇ!! 」


 幸先が悪い、とはこのことなのかもしれない。


 たこおたは目の前で騒ぎ散らかす、協調性のない兄弟たちを眺めて、胸の内でそう感じていた。



**********







 静寂に包まれた森林に響く、風に吹かれて揺れる葉音。


 普段は特段何も感じないその音が、今だけは恐ろしい魔女の笑い声にも聞こえた。


「 うぅ、みんなどこぉ 」


 そんな弱音を吐きながら、霧の中を突き進む。


 迷子になった時はその場から動かない方が良いとも聞くが、あそこに一人取り残されているのは、僕には苦痛で、とても耐えられないものだった。


「 ? 何かある? 」


 迷子の最中、僕が見つけたのは霧の中に浮かぶ何か。


 霧のせいでぼやけていて、今もそこに何かがあるとしか分からなかったが、周りにある樹木とは確かに別のものだった。


 目を凝らしながら、その何かに近づく。


 やっとの事で視認出来たそれは、石碑だった。


 “月の影にてのみ現れ出づる門の彼方に眠りたるは秘宝なり.そは、星の命の核を生み出だすに欠くべからざるものなり.”


「 ?? …なんか重要そうってことだけしか分からないかも。そもそも星の命の核ってなんだろう 」


 随分と昔に書かれたものなのか、現代の文法とはかけ離れたこの文章。


 なんとなくの意味はわかるものの、それを言葉にするのは難しかった。


 取り敢えず、とその謎の文章を脳内保存すると、僕は脱迷子を目指して、再び森の中を歩き始めた。










✩.*˚ タコス紹介コーナー !!

名前:たこし

特徴:観察力抜群,,,?

挨拶:「 よろしく!! 」



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