第4話.
「 、碧くん? 」
「ぁ~…あの、ほら。あの子のことだよ 」
少し困ったような、なんて言えばいいのか悩む、といった表情を浮かべるタコスたち。
何をそんなに考える必要があるのかは分からないが、その反応からでも分かることがひとつあった。
“彼らは碧を知っている”
僕の中で、そう結論づけられる。
彼らの様子を見て、僕が1番に思ったのは何でもなくそれだった。
胸に期待が膨らむ。
手がかりが掴めるかもしれない、と。
僕は彼らの返答を首を長くして待った。
「 お前はその親友を助けたいか? 」
真剣な面持ちで、ひとりのタコスが僕にそう問う。
同時にあたりの空気が、鉛のように重く、僕の背にのしかかる感覚を覚えた。
────この選択が、僕の運命を大きく変える
そう、心の底から感じさせられた。
「 ッ、もちろんッ僕は碧を助けたい!! 」
タコスたちの瞳を真っ直ぐと見つめ返す。
僕の本気の思いが伝わるように、この思いを訴えかけるように見つめた。
あの紙切れには“助けて”って書いてあったから。
碧が僕を呼んだなら、碧を助けるのは僕じゃなきゃダメなんだ。
「 …わかった。今から話すことは現実味もないが、全て本当の話だ。その前提で聞け 」
僕の必死の訴えが通じたのか、少しするとタコスのひとりがそう言って話し始めた。
その内容は、宣告通り現実味の欠片もない話だった。
「 君の親友の碧くんは、異世界に迷い込んでしまったんだ 」
「 恐らく、碧殿は偶然にも空間の裂け目に入り込んでしまったのだと思います 」
初っ端から大きな爆弾が放り込まれる。
「 碧って奴を助けるには、もう一度空間の裂け目を生じさせる必要がある。
助けたいっつぅーんなら、“虚空の神殿”を探し出せ。
そこに行けばお前ら2人にとって1番大切な思い出を代償に、碧をこっちの世界に引き戻すことができるだろうな 」
僕たちにとって、1番大切な思い出―――
彼らは真剣な目付きで僕を見る。
そこに、先程までの無邪気に喧嘩をする彼らの面影は残されていなかった。
彼らの本気具合が伝わってくる。
これは夢でも幻でもない。
今、現実で起こっていることなんだと分からされる。
「 …それでも親友を助けたいんなら、この手を取れ。俺らがお前の願いを叶えるために手を貸してやるよ 」
ニヤッ という効果音がよく似合いそうに笑うタコス。
「 っ、ぅん! 」
震えた小さな声で、今出せる精一杯の声量を出す。
今にも溢れ出しそうな涙をこらえて、目の前に差し出された手を取った。
その瞬間、胸の奥がひどく痛んだ。
“何かを失う予感”
それが、確かにここにあった。
けど、碧が僕を呼んだんだ。
だから、僕は行かなければならない。
この選択をして、名前を失うことになったとしても─────。
それでも、僕は進む。
それが、僕の選んだ答えだった。




