第39話.
神々しい光に包まれている間、僕は碧との毎日を思い出していた。
「 ブラボー!! 」
サッカーの試合で勝利して喜ぶ碧。
「 ブラボ〜っ 」
なにか悲しいことがあって落ち込む碧。
「 ブラボー 」
その名前が好きで、その言葉を口にする度に小さく微笑んでくれた碧。
そんな碧が大好きで、僕の“太陽”だった。
僕の名前を呼んで、それだけで笑顔になる碧。
―――ずっと、そばで見ていたかったんだ。
光がおさまる。
眩しくて閉じていた瞼を開けると、そこに僕の親友の姿はあった。
ずっと、会いたかった碧が、そこにいた。
「 ただいま、“光輝” 」
「 …うん、おかえり。碧 」
“光輝”―――その一言が僕の耳の奥で反響している。
胸の奥底に沈んでいったはずの悲しみが、今にも溢れ出しそうだった。
碧が帰ってきてくれた。
その喜びは確かにここにあるのに、僕の名前を呼ぶその声が、どこか遠くの存在に感じる。
視界がボヤけた。
目尻に、涙が滲む。
─────あぁ、僕はもう“光輝”なんだ。
って、わかってしまって。
息が詰まる。
本当は、今すぐにでも泣き出してしまいそうだった。
碧がその名前で、僕を呼ぶことはもうないから。
けど、今の僕はもう、前の僕とは違うんだ。
そう自分に言い聞かせて、僕は拳を強く握りしめた。
皮膚に爪が食い込んで、そこから赤い雫がこぼれ落ちる。
そんな痛みなんか気の所為にして、僕は碧のほうを見た。
────碧。
ねぇ、碧。
僕も、光になれたよ。
物語は、もう少しだけ続きます。
彼が選んだ名前と、
失ったものの先にある答えを。
最後まで、見届けてください。
※次回投稿は 3月31日(火) になります




