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第36話.
“ 月に一度ノかくれみの夜,そこに姿を現す.
碧の旋律,星の道標を辿った先に神殿あり.”
タコスファミリーと出会ったあの日。
みんなが教えてくれた虚空の神殿を探す手がかり。
その文章が脳内で再生される。
なぜだか分からない。
けど、その文章が表すものが、今目の前に広がるこの光景を表しているのだと思えてならなかった。
―――この光の先に“虚空の神殿”がある
そう思うと、いてもたってもいられなかった。
本能のままに動き出していた足が、光を追って走り出す。
水平線の彼方まで向かう光の筋。
その先を目指して、海へと1歩踏み出した。
ぴちゃっ ぴちゃぴちゃ
僕の走ったところに波紋が広がる。
僕は今、水の上を走っている。
その爽快感が、僕は今風になっていると、そう錯覚させた。
「 はっ、はッ 」
息が切れる。
血の味がする。
けど、そんな辛さなんてどうでもよかった。
“碧を助けられる”
―――その事実が、もう目の前まで迫っている。
そんな嬉しさに比べれば、辛さなんて気にならなかった。
「 ッ、もうすぐそこにあるんだっ!! 」
全力で手を振る。
足を動かす。
息をするのも忘れて、僕は走り続けた。
夜の海に、僕の鼓動だけが聞こえる。
海を超えた先。
そこに“神殿”はあった。




