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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 焔 】
35/38

第35話.


「 __てく__い! 」


「 おき__ 」


微かに誰かの声が聞こえる。


僕を呼ぶ声が聞こえる。


そんな気がした。


重たい眉を開く。


一面に広がったのは、ドアップのちびたこだった。


「 あっ、起きた!! おはよっ 」


「 ぇっ、あ、おはよ…? 」


目を擦りながら、なんとか眠気を抑える。


頬に触れる冷たい風が心地よくて、そのまま寝てしまいそう。


微かな潮の匂いも、僕の睡眠導入剤になる。


「 …ぁれ? ぇ、ここ海!? 」


「 ぁ? 今更何言ってんだ。周りみてみろよ 」


たこきれにそう返される。


僕はキョロキョロと辺りを見渡した。


「 海だ。海だよ!! え、なんで!? 」


「 オレたちはあの後気を失ったんだ。そんで目覚めたら海に居たってわけよ!! 」


何故か胸を張るように語るたこやん。


「 そっか、あの時に… 」


少し、まだ洞窟にいた頃を思い出してみる。


「 ッあ、秘宝は?!! 」


秘宝の存在を思い出して、みんなのほうを振り返る。


「 …秘宝なら、そこ 」


「 、? 」


たこすんの視線の先を追う。


そこには確かに“星命の核”があった。


月のような、優しくて淡い光。


雪が溶けていくように儚い。


けれど、美しさと危うさを掛け合わせたような、そんな雰囲気を纏っている。


“触れてみたい”


ただ、そう思った。


その一心で手を伸ばす。


触れた瞬間、指先にほのかな温かさが広がった。


同時に、星命の核から一筋の光明が伸びる。


満月が輝く静かな夜。


波の音だけが響く海岸に、希望が現れる音がした。










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