第35話.
「 __てく__い! 」
「 おき__ 」
微かに誰かの声が聞こえる。
僕を呼ぶ声が聞こえる。
そんな気がした。
重たい眉を開く。
一面に広がったのは、ドアップのちびたこだった。
「 あっ、起きた!! おはよっ 」
「 ぇっ、あ、おはよ…? 」
目を擦りながら、なんとか眠気を抑える。
頬に触れる冷たい風が心地よくて、そのまま寝てしまいそう。
微かな潮の匂いも、僕の睡眠導入剤になる。
「 …ぁれ? ぇ、ここ海!? 」
「 ぁ? 今更何言ってんだ。周りみてみろよ 」
たこきれにそう返される。
僕はキョロキョロと辺りを見渡した。
「 海だ。海だよ!! え、なんで!? 」
「 オレたちはあの後気を失ったんだ。そんで目覚めたら海に居たってわけよ!! 」
何故か胸を張るように語るたこやん。
「 そっか、あの時に… 」
少し、まだ洞窟にいた頃を思い出してみる。
「 ッあ、秘宝は?!! 」
秘宝の存在を思い出して、みんなのほうを振り返る。
「 …秘宝なら、そこ 」
「 、? 」
たこすんの視線の先を追う。
そこには確かに“星命の核”があった。
月のような、優しくて淡い光。
雪が溶けていくように儚い。
けれど、美しさと危うさを掛け合わせたような、そんな雰囲気を纏っている。
“触れてみたい”
ただ、そう思った。
その一心で手を伸ばす。
触れた瞬間、指先にほのかな温かさが広がった。
同時に、星命の核から一筋の光明が伸びる。
満月が輝く静かな夜。
波の音だけが響く海岸に、希望が現れる音がした。




