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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 焔 】
34/37

第34話.

 

 僕の手が、石のオブジェに触れる。


 瞬間、淡い光のような温かさが僕の指先に広がった。


 僕が触れたのは石のはず―――そう思うのもつかの間、次の瞬間には、僕の意識は別のものへ向けられていた。



 ブォーン!!



 そんな音を立てながら、上空を目指して光の筋が伸びていく。


 ところどころで星屑を零しながら、その光は天を目指した。


 洞窟の天井にその光が触れる。


 途端、光が破裂し、常闇に星の花火を咲かせた。




 “綺麗”


 その言葉ひとつじゃ表しきれない。



 ―――花火が儚く散る。


 そうして現れたのは、煌びやかに虚空を舞う“秘宝・星霜(せいそう)宝珠(ほうじゅ)”だった。


 内側から燃えるような深い紅を纏う。


 ルビーのような真っ赤な情熱。


 小さな火片を辺りに飛び散らせながら宙で踊る。


 星霜の宝珠は、流れ星のように僕たちの前へ舞い降りた。




 地面を通じて、秘宝の揺れが伝わってくる。



 とくっ とくっ



 と、心臓の鼓動のように動く。


 情熱的な色に対して、その音はとても優しく、今にも消えてしまいそうだった。


 秘宝・星霜の宝珠に近づく。


 そして、それに触れようと手を伸ばした。


 けれど、僕の指先が触れる前に星霜の宝珠は宙へ浮かぶ。


「 ぅえっ!? 」


 驚いて、その場に尻もちを着きそうになる。


 なんとか持ちこたえるも、驚いていてそれどころではなかった。


「 ぇ、えっ、!! 」


 後ろにいたちびたこが、目を見開かせる。


 いつの間にか僕たちの手元から離れた2つの秘宝。


 “霧の心臓”と“暁の種”。


 そして今目の前にある“星霜の宝珠”。


 それらが光を放ちだし、円を描きながら空へ登っていく。


 星屑を溶かしたような、そんな謎めいた美しさだ。


 やがて、3つの秘宝は重なりあう。


 バチバチと静電気のようなものを交えながら、それらは繋がりあった。



 ────3種の秘宝は新たな秘宝へと姿を変える。



 “秘宝・星命の核”


 ついに、最後のピースが揃った。


 これがあれば、虚空の神殿へと行けるんだ。


 と、強く感じさせられた。


 眩い光で空間が満たされる。


 気づけば僕たちは、その光に包まれ気を失っていた。





















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