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第33話.
「 ん?、あれなぁに? 」
そう言って何かを指さすちびたこ。
ちびたこが指さす先にあったのは、不思議な形の石のオブジェだった。
相変わらず、なんでこの形なのだろうと思うようなものだ。
僕は返答に悩む。
すると、なにか思いついたようにたこしが言った。
「 あっ!! 近くで見ればなにか分かるんじゃない? 」
そう言いながら、たこしはその石のオブジェまで走っていく。
僕も、たこしの小さな背中を追うように走った。
―――なんだか、音が聞こえづらい気がする
石のオブジェに近づくにつれ、そんな感覚を覚えた。
石の上を走る音、ほんのり聞こえる湧水の音。
洞窟に響く、僕たちの喋り声。
その全てが、僕の耳から遠ざかっていく。
変な感覚だ。
けど、僕はその感覚を気の所為にした。
そばで見た石のオブジェは、ところどころ蜘蛛の巣が掛かっていた。
苔も生い茂り、ひび割れている部分もある。
けど、中心のくぼみだけは違っていた。
磨かれたように輝く。
苔も、そこだけは生えていなかった。
そんな謎めいた石のオブジェ。
「 、? 」
それを見て不思議に思う。
気づけば僕は、その石のオブジェに手を伸ばしていた。




