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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 焔 】
31/37

第31話.

 

 突然脳に流れ込んできたその1文。


 無意識のうちに、僕はそれを口にしていたらしかった。


「 神像の御手に、火よ、灯れ 」


「 ?、急にどうし 」


 ボワっ


 僕の言葉を不思議に思ったのか、たこやんが口を開いた時だった。


 神像の手に握られていた木の枝の先が、音を立てて勢いよく燃え始める。


 まるで、僕の言葉に応えたように。


 そう思うと、なんだか胸が高鳴った。


 恋とはまた違った、不思議な感覚だ。



 それらの炎はそれぞれが違った色をしていた。


 左から、“()”、“(希望)”、“(友情)”。


 驚く間も与えられず、それは次の展開へと進められていく。


 眩いくらいに光だした3つの炎。


 その炎が、それぞれの神像の足元から、一点を目指して伸びていく。


 やがて合流したその炎は、激しくぶつかり合った。


 そしてひとつの炎を生み出す。


 炎が辿ってきた道が裂け、そこに新たな道が現れた。


 そこが見えない、真っ暗な大穴。



 “この先に最後の秘宝が眠っている”



 そう、強く感じさせられる。


 胸の奥に隠れたざわめきが、そのことを物語っていた。


 僕は思わず後ずさった足を、前へと引き戻す。


「 … 行かなきゃ 」


 そう一言呟いて、僕は3種の炎が生み出した道へと一歩踏み出した。




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