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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 焔 】
30/37

第30話.

 

 奥に進んだ先の祭壇。


 僕たちが遠くから見た祭壇と同じものだとは思えない。


 それくらい、遠目で眺めた時との迫力が段違いだった。


 左手に“絆”。


 右手に“友情”。


 そして正面に“希望”。


 その文字が彫られた石像が3つ、僕たちの視界に飛び込んでくる。


 昔の人々が想像した“神”を形にしたであろうその石像は、各々ひとつの木の枝を掲げていた。


「 これがチョチョキ族の言っていた石像、ですか 」


 カッコつけるようにサングラスをカチャリとかけ直すたこおた。


 その場にいた僕たちの視線は、全てが目の前の石像へと向けられる。


「 …ん? 」


 そんなとき、不意に見つけた書見台。


 なんだかただならぬオーラを感じる。


 そして、僕は気づけばその書見台へと歩き出していた。


 埃を被った本を手に取る。


 ざらざらとした質感。


 この本は長い年月もの間、ここにあったのだろう。


 そう思わせられた。


 割れ物を扱うように丁寧に表紙をめくる。


 そこに記されていた1文の意味を理解するのは、僕一人では難しすぎるものだった。


 “詠唱せよ.されば,神像(しんぞう)御手(みて)(ひじり)の炎,きっと宿らむ.”


 どういう意味だろう。


 そう思うと同時に、僕の脳内に、ある1文が再生された。



















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