第3話.
驚きのあまり、言葉を失う。
タコスが生きてるなんて、現実ではありえないはずなのに────
そんなことを思う。
必死に現状理解をしようと、僕は頭を働かせた。
僕は何も言わずに、ただ考え込む。
そんな僕をまじまじと見てくるタコスさん (?) 。
少しするとタコスさんは、何か気付かされたかのように話し始めた。
「 あっ、ボクはちびたこっ。よろしくね!! 」
ぴょこぴょことウサギのように跳ねて言うちびたこ。
「 、? オイラはたこし。昆虫を見つけたら、まずオイラに教えてくれよ! 」
麦わら帽子をグイッと上げてからのキメ顔。
片手には虫取り網、と格好からも虫好きなのが伝わってくる。
「 えぁ、え? 」
突然始まった自己紹介。
反応に困る僕を置いて、マシンガントークで自分語りを始めるタコスたち。
その勢いはどんどんと増していく。
そんな騒ぎを 嗅ぎ付けてきたのか、暫くすると店の奥の方から新たに人影がやって来た。
今度こそ人間かっ!?、なんて思いながら勢いよく振り返る。
けれど、その影の正体はまたもやタコスであった。
「 ぉ、なんだ自己紹介かぁ~? オレも混ぜろ!!」
リーゼントヘアが特徴的なそのタコスは、元気よくこちらに駆け寄ってくる。
そして、その勢いのまま自己紹介を始めた。
「 オレはたこやん!!ヤンキーだッ! 」
「 え、いや…それがどうしたと?? 」
唖然とするあまり、少し辛辣な言葉使いになってしまう。
慌てて訂正しようとするが、彼らは僕が口を挟む間もないほど話を白熱させていた。
「 ぇ、ぁ、あはは 」
もはや、苦笑いしか為す術がない。
僕は救世主が現れることを、ただ願っていた。
少しすると店内の騒がしさに気づいたのか、奥からまた別に新たな影がこちらへ向かってくるのが見えた。
その影は合計3つあり、その正体は変わらずタコスであった。
「 あ?騒がしいな。俺の飲み会を邪魔すんなッ 」
と、額に皺を寄せたタコス。
「 はぁ、飲み会って言っても泡立てた麦茶でしょ 」
正論 (?) をぶつけるたらこ唇のタコス。
「 これはビールだッ、麦茶じゃねぇッ!! 」
そう言って僕に、持っていたビールを見せつけてくる。
ごめんなさい。
僕には麦茶にしか見えません。
「 ちょっとぉ~、2人も十分煩いんですけど??推しの配信聞こえなくなっちゃうから静かにしてよね 」
そして最後にやってきたのは、ペンライトを両手に抱えたタコスだった。
個性的なタコスたちに、事態は更に悪化する様子を見せる。
このままではいつまで経っても話が進まない。
そう思うと、冷や汗が頬を伝った。
不思議なタコスたちに囲まれていても、頭のどこかでは、ずっと碧のことが引っかかっている。
胸の奥で、何かが叫んだ。
────碧を見つけなきゃ
その目的を果たす、それだけを考えていた。
だからか、タコスたちの話を遮る勢いで声が飛び出ていた。
「 、あのッ!! “碧”という名前の男の子を知りませんかッ? 」
僕の口は僕の思いに忠実だった。
そのくらい、僕は碧を助けることに必死だった。
冷静になって考えると、彼らが碧のことを知っているはずがない。
けれど、それは単なる“思い込み”だったのかもしれない。




