第26話.
「 あの舟があれば、先に進める!! 」
そう意気込んで、一歩足を踏み出したタイミングだった。
充満していた霧が裂け、僕とその小舟を繋ぐ一本道を作り出す。
それが本当に導かれているみたいで、なんだか心躍る気分になった。
水族館にある水中トンネル。
それによく似た霧のトンネルの下をくぐりぬける。
ふわふわとした綿飴のような、雲に近い霧の中を歩く。
それはまるで夢の中に入り込んだみたいだった。
霧のトンネルを抜ける。
そこにあった舟は少し年季が入っていた。
けれど、それがこの洞窟と調和して情緒ある光景になっていて、その風格に魅力を感じた。
舟の美しさを一望したあと、僕は舟に乗ろうと足をかける。
その瞬間、
バサァっ
と、大きな音が上から聞こえた。
「 わぁ、星がいっぱいあるねっ 」
「 …本物みたい 」
その大きな音がした方を見て、ちびたこが楽しそうに言う。
たこすんも珍しく驚いていたように見えた。
そんな様子を見てなんだろうと思い、僕も音のした方を見た。
「 !! ぁれ、帆が張ってる? 」
つい先程までは帆が閉じていたはずなのに。
そのことを考えた時、舟に乗った時の音の正体がわかった気がした。
けれど、そのことを完全に理解する前に、僕の心は奪われた。
洞窟の青光りのような後光が差す。
それに加え、まるでスクリーンに映し出したかのような星空が描かれている。
それが星の洞窟と一体化して闇に溶け、本物の星空のよう。
──────そんな静かな美しさを纏う帆に、気づけば魅了されていた。




