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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 黎明 】
23/37

第23話.

 

 朝の空に東雲が見えてきた頃。


「 ぉはょぉ… 」


 その声が聞こえて、僕は声の方を振り返る。


 声の主はちびたこだったようで、目を擦りながら僕のところへやってきていた。


 まだ寝ぼけているのか、小さな欠伸をしている。


「 おはよう 」


 そう言って微笑むと、ちびたこは嬉しそうに微笑み返してくれた。






「 次の目的地は“星の洞窟”だな 」


「 そうだね 」


 みんなが起きて、たこきれが目的地の確認をする。


 その裏で、たこすんが手馴れたようにワープゲートを呼び出していた。


 相も変わらず不穏な紫の光を纏って渦巻くワープゲート。


 もうそれを目にするのは3度目だと言うのに、僕は未だ“ワープゲート”というものに慣れなかった。


「 もう行くか? 」


「 うんっ! 早くいこぉよっ 」


「 ンな急かすなって 」


 たこやんとちびたこの会話を聞き流して、僕はただ“これから”のことを考える。



 ────きっと、星の洞窟にも“秘宝”が眠っている。


 そして、その秘宝は虚空の神殿へたどり着くための手がかりになる。



 僕は星の洞窟へ行ったことがない。


 見たこともない。


 それなのに、そのことだけは揺るがない真実のように、僕の胸の奥に刻まれていた。



「 !! ワープゲート、通れる大きさになった ! 」


「 そうですね。ではそろそろ行きますか 」


 たこしに続いて、たこおた、ちびたこ、とワープゲートへ飛びこんでいく。


 みんながワープゲートの向こう側へ行ってしまって、僕ひとりがここに取り残されていた。


 ひとりになったからか、心の底からどんどんと不安が込み上げてくる。



 ────僕はちゃんと、碧を助けることができるだろうか



 不意に、そんなことを思ってしまった。



 “ブラボー、助けてくれ”



 あの日拾った紙切れに書かれていた一文。


 紙切れには確かに“助けて”って書いてあった。


 碧が僕を呼んだんだ。


 碧を助ける―――それは僕の使命なんだ。


 そう、胸の内で唱える。


 僕の決意がみなぎる音がした。



「 あっ、僕も行かなきゃ 」


 みんなはもう、ワープゲートの先へと行ってしまったことを思い出して焦ってしまう。


 少し急ぎめに、僕もその紫の光芒に吸い込まれた。












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