第19話.
ピシッ
耳元で、湖の氷にヒビが入る音が聞こえた。
けれど、そんな音聞こえなかったとでも言いたげに、僕の体は光の橋を渡っていく。
足元の氷が割れて、真冬のように冷たい湖に落とされるかもしれない。
そんな思いもあったけれど、別に嫌な気はしなかった。
氷の湖と空を揺らぐオーロラが生み出した光の橋。
この橋を渡った先に待つ展開が待ち遠しくて、今にも走り出してしまいそう。
かすかに聞こえる風の音が、オーロラの囁きにも聞こえる。
タコスたちは一歩、一歩と歩み進める僕の後ろを着いてきていた。
光の橋を進んでいくにつれ、最初は見えなかった湖の端があらわになる。
そこにあった光景に、僕たちは目を奪われた。
辺りに生い茂る水晶の草。
空からの光を反射して七色に辺りを照らす。
宙を舞い踊る蝶は、羽に星のような光を宿していた。
────ここが光の泉なんだ
と、心の底から実感させられる。
「 !、 オイラ、あんな蝶見たことないや。…捕まえてもいいかな? 」
「 これ、虹みたいで綺麗だよっ 」
たこしやちびたこが、各々珍しい蝶や水晶の草へと興味を示すなか、僕はそのふたつとはまた別のものに視線が釘付けだった。
太陽の元気な光と、月の淡くて優しい光。
それらが同時に差し込んで重なり合う、泉の中央。
そこにできた光の渦は、静かながらも音が聞こえてきそうな勢いで輝いていた。
“暁の種”―――そう呼ばれた秘宝が、光の渦の中心部で僕を魅了させる。
美しさのあまり空気が揺れ、その振動が僕の心の奥まで届いた。
光に包まれていたせいで、その形は定かではない。
けれど、確かにそれは“秘宝・暁の種”である。
そう、僕の第六感が告げていた。




