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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 陰陽 】
19/37

第19話.

 


 ピシッ



 耳元で、湖の氷にヒビが入る音が聞こえた。


 けれど、そんな音聞こえなかったとでも言いたげに、僕の体は光の橋を渡っていく。


 足元の氷が割れて、真冬のように冷たい湖に落とされるかもしれない。


 そんな思いもあったけれど、別に嫌な気はしなかった。


 氷の湖と空を揺らぐオーロラが生み出した光の橋。


 この橋を渡った先に待つ展開が待ち遠しくて、今にも走り出してしまいそう。


 かすかに聞こえる風の音が、オーロラの囁きにも聞こえる。


 タコスたちは一歩、一歩と歩み進める僕の後ろを着いてきていた。






 光の橋を進んでいくにつれ、最初は見えなかった湖の端があらわになる。


 そこにあった光景に、僕たちは目を奪われた。


 辺りに生い茂る水晶の草。


 空からの光を反射して七色に辺りを照らす。


 宙を舞い踊る蝶は、羽に星のような光を宿していた。



 ────ここが光の泉なんだ



 と、心の底から実感させられる。


「 !、 オイラ、あんな蝶見たことないや。…捕まえてもいいかな? 」


「 これ、虹みたいで綺麗だよっ 」


 たこしやちびたこが、各々珍しい蝶や水晶の草へと興味を示すなか、僕はそのふたつとはまた別のものに視線が釘付けだった。


 太陽の元気な光と、月の淡くて優しい光。


 それらが同時に差し込んで重なり合う、泉の中央。


 そこにできた光の渦は、静かながらも音が聞こえてきそうな勢いで輝いていた。


 “暁の種”―――そう呼ばれた秘宝が、光の渦の中心部で僕を魅了させる。


 美しさのあまり空気が揺れ、その振動が僕の心の奥まで届いた。


 光に包まれていたせいで、その形は定かではない。


 けれど、確かにそれは“秘宝・暁の種”である。


 そう、僕の第六感が告げていた。











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