第18話.
湖に気を取られていると、不意にたこしの声が耳に入り込んできた。
「 !! 雪だ! 」
雪?
そう思って空を見た。
天から音もなく舞い落ちてくる雪。
月明かりと太陽の光に照らされ、そのひとつひとつが、自ら光を放つかのように舞っている。
例えるならば、広大な宇宙からこぼれ落ちた星のよう。
綺麗なんて言葉の一言だけでは足りないくらいの美しさが、そこにあった。
ふわっと、湖の水面の上に雪がひとつ舞い落ちる。
水音ひとつ聞こえなかった。
けれど、その瞬間に僕の瞳が捉えたほんの小さな波紋は、その湖が呼吸をしたかのように思えた。
────その刹那、
パキ パキ パキッ
と、湖が凍った。
その光景に、僕は思わず情けない声をこぼす。
その場にいた全員が、何が起こったのかを理解できていなかった。
けれど、驚くにはまだ早かったらしい。
凍った湖は、もうひとつの空を映し出す。
“七色に輝く光の帯”―――そこに映し出されたそれは、正真正銘の“光の橋”だった。
“光の橋を渡りてのち,泉あり.”
石碑に記されていた文章の一部分が、僕の脳裏を過ぎる。
その光の橋が今目の前にあるんだと思うと、いてもたってもいられなかった。
自我を抑えきれなかった僕の足が動き出す。
一歩、一歩と前に進み、遂には凍った湖へと足を踏み入れた。
────きっと、この先に光の泉がある。
僕はそう確信していた。




