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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 陰陽 】
17/37

第17話.

 

「 ん? 」


 なんだか辺りが明るくなった気がして違和感を覚える。


 それも空が明るくなっている気がして、無意識のうちに上を見上げていた。


「 !! オーロラだ 」


 夜空を漂う光の帯。


 僕はその光の帯に、目線、そして心までもを奪われていた。


 まるで、空に架かる“光の橋”のよう。


 そこから天女でもやってきそうな、そんな神秘的な美しさを感じた。


「 虹のふもと、宝物… 」


 オーロラの美しさに見入っていると、突然たこすんがボソッと呟いた。


「 そういえば、そんな伝承がありましたね 」


「 あ? あー、そんな気がしなくもねぇな 」


 そんな彼らの会話を小耳に挟む。


 そのとき、ふと思ったことがあった。


「 ねぇ、オーロラの向こうに秘宝があったりしないのかな 」


 冗談半分で軽く笑いながらそう口にしてみる。


 そんなわけねぇだろ、なんて言葉が帰ってくると思っていたけれど、実際はそうではなかった。


「 ぉ、お前頭いいな! 」


「 ねっ。ほんとにありそう!! 」


「 あぁ? まあ、オーロラの下まで行ってみるか 」


 みんなノリノリの様子でオーロラを目指して歩み始める。


 予想外な展開に驚きつつも、僕もみんなの後を追って歩き始めた。






 しばらく歩いて、僕たちはオーロラの下へとたどり着く。


 もう一度上を見上げると、今自分のいる真上の空から、遠くの山の方へと光の帯がのびていた。


 山と言っても、緑に溢れた山じゃない。


 冷たい氷の山、いわゆる氷山だ。


 僕たちがいるあたりも、先程までいた場所とは違って雪に覆われていて、一瞬のうちに季節がうつり変わったようだった。


「 さむっ 」


 体を温めるように腕をさすりながら、羽織っていた上着をギュッと握る。


 けれど、その寒さを忘れてしまうほど僕の興味をひくものが、そこにはあった。


 僕たちの目の前に広がるのは、終わりが見えないほどに広大な湖。


 海といってもいいほどの広さを持つその湖だが、それは僕の知っている湖とは少し違っていた。


 別にこれといった違いを見つけた訳ではない。


 ただ、僕の知る湖とは気配がまるで違っていた。


 “時をとめた湖”―――その言葉が良く似合う。


 そんな湖に見えた。










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