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"名のない英雄"  作者: 莉月 暁星
【 追憶 】
13/37

第13話.

 

「 お_!!__ボー! 」


 かすかに聞こえてきた誰かの声。


 聞き覚えのあるその声に呼ばれた気がして、僕は重たい瞼を開いた。


 目を覚ました矢先に見たのは、聖域に来る前も目にしたあの巨木だった。


「 あっ、おはよ!! 」


「 ぇぁ、ぉはょぅ? 」


 突然のことに戸惑いながらも、ちびたこに挨拶を返す。


 僕たちの会話が聞こえていたのか、その場にいたタコスたちが一斉にこちらを振り返った。


「 っ、? …みんなどうかしたの? 」


「 あ? オマエ覚えてねぇのかよ 」


「 …君、さっきまで気を失ってた 」


「 ぁ、 」


 そういえばそうだったかも、とたこすんの言葉を引き金に少し前の記憶が脳内で再生される。


 僕は気づいたら星に触れていて、そしたら凄い熱くて気を失っちゃって────あれ、その後はどうなったんだろう。


 思い出すうちにふつふつと湧き出た疑問に首を傾げる。


 考えるほどその疑問は大きくなるも、その答え合わせをする方法などあるはずがなかった。


「 …あっ!! 誰か霧の心臓見てない?? 」


 ふと思い出した、“秘宝”の存在。



 ────あれがなかったら虚空の神殿に行けない。

 つまり碧を救えない。



 そんな思考が、僕の脳を埋め尽くす。


 “不安”―――その感情だけが、僕の胸の内を渦巻いて消えなかった。



「 霧の心臓? 」


 たこしが不思議そうに僕の言った言葉を復唱する。


 その様子を見て、僕の不安はさらに高まる一方だった。


「 そーいや、霧の心臓かは知らねーけど、あっちのほうさっきから光ってるよな 」


「 あっ、それオイラも気になってた!! 」


「 光? 」


 そう思って、僕はたこやんたちの目線の先を見る。


 たしかにそこには何かの光が溢れ出していて、さらにそれは覚えのある気配をまとっていた。



 まさにそれは“霧の心臓だ”―――と、断言させるような、そんな光だった。








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