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テーマ詩集:水

あたしの胸の水槽

作者: 歌川 詩季

 からっぽには、したくないです。

 あたしの胸の水槽に 銀ピカの蛇口をゆるめて

 たぷんたぷんに水をはろう


 オレンジ色の金魚なら おいでませ♡

 おびれをひらひらさせて おくちをぱくぱくしてよ

 水面(すいめん)からストローをさしこんで

 耳にあてたなら

 あなたのことばが聞こえるんじゃないかって

 静寂に目を閉じる



 あたしの胸の水槽に 砂利(じゃり)石を敷いて

 水草の箱庭をつくろう


 流れない(よど)みは濁ってしまうから

 どっかに隠れたひび割れに

 水漏れしてるのも まあいっかって

 (かさ)が減るたびに 忘れずに継ぎ足すんだ

 濡れた床にはぞうきんをならべとこう



 あたしの胸の水槽は きょうも

 ちゃんと水がはってる

 (かさ)を減らしすぎて

 あわてて継ぎ足すこともあるし

 そそぎすぎて あふれかけることもあるけど


 それでも いそがしさにかまけて

 ()あがったりしないように

 アクリルの底に敷いてある渇いた砂利(じゃり)石のうえで

 金魚がぴちぴちしたりしないように

 濁ってないかにも気を配って

 ときには 水をぜんぶとっかえたりしながらも

 あたしの水槽は これからも

 水をはりつづけることだろう


 ひび割れも水漏れもなおせなくて

 水圧にアクリルが(きし)んでも

 この胸のほんのかたすみの

 ほんのちっぽけな(うつわ)でしかなくても

 あたしは胸の水槽に これからも

 ()あがらせることなく

 水をはりつづけていきたいとおもう



 三毛猫もようの金魚なら おいでませ♡

 金魚可愛い♡

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制作:冬野ほたる先生
― 新着の感想 ―
[良い点] とても可愛くて、それでいて意味の深い 素敵な詩だなぁと感じ入りました♪ 水槽良いですよね~。手入れが下手だから私のは水が流動しまくるだけかもしんないけど…。 常に新鮮な水を流したいです。意…
[良い点]  水が漏れても、減っていっても、注ぎ足せばいい。  無理になおすのではなくて、ひび割れたまま。  ありのままを大切にする様子と、ちっぽけでもと言い切るところに、なんだか気持ちの強さを感じ…
[一言] 私の胸の中にも水槽があるのかも……そんな風に思いながら読ませて頂きました。 その中で金魚がいたりしたら、なんだかかわいいな、なんて。 前書きの「からっぽにしたくない」という気持ち、とてもよく…
感想一覧
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