1/1
1つめ
まるで意味のない物語 1
君が世界から消えたとき、世界はこれが正しいかのようにまた回りはじめた。だから僕は、駄菓子屋に行くことにした。
線路沿いをずっと歩いて、それこそ鳥が落ちてくるくらいのスピードで歩いて、
ついた先はコインランドリーだった。そこで僕は君の服だけを洗濯した。君のお墓まではまだ長い道のりがあった。
繁華街に差し掛かると、赤い髪のおばあちゃんが、親しげに笑いかけてきた。僕は間に合ってますからと、さらりと交わし団子屋さんの前で立ち止まった。季節外れのみたらし団子を5本買って隣の呉服屋にはいる。
食べ物を持った客を少し訝しげに眺めた他の客は、黄色い着物を手に持っていた。
呉服屋の店主は何も言わずに僕を奥に通した。
僕は裏口から出ると、何食わぬ顔をしてみたらし団子を頬張った。
2本目に差し掛かったとき、黒い子猫と灰色の子犬がじゃれ付いてきた。
もっていたタオルをくるくるまきにして投げる。
みたらし団子はまた2本、そこに置いてきた。